研究内容
本研究の目的は、米中両国による輸出管理や技術をめぐる規制の実態、その政策形成の分析に加え、それらがアジアの経済、安全保障に与える影響を分析することを通じて、経済と安全保障の相互関係を明らかにすることにあります。
本研究は、以下の7つの内容について、文献・資料収集、聞き取り調査、専門家会議の主催等によって情報収集と分析を行います。
- アメリカの輸出管理政策、対内直接投資規制等、技術に関わる規制・管理の動向
- アメリカ政府における技術・投資規制政策の形成過程分析
- アメリカの科学技術政策の構造的分析
- アメリカ企業への影響、企業・産業界の対応
- アメリカの同盟国・友好国への協力要請状況、および各国企業と産業界への影響と対応
- 中国政府、および企業による対応策の現状
- グルーバル・サプライチェーンおよび世界経済への影響
経済の論理はしばしば最も優先されますが、それでは安全保障を担保できない事態を招く可能性があります。しかし、安全保障の論理を優先させれば、それが経済活動に深刻な影響を及ぼし、大きなコストを社会に強いることにもなりかねません。米中関係から生じる規制・管理政策は、経済と安全保障の2つの論理の均衡点を探すようにそれぞれ模索が続くことが予想されます。それは日本やアジアの経済の基本構造、また安全保障環境に大きな影響を与えることになります。
本プロジェクトは、国際政治経済、安全保障に加え、アメリカ外交、アジア・中国の政治経済、科学技術論の第一線で活躍する専門家が参加し学際性の高いメンバーで構成されます。冷戦期と異なり、グローバル化と大国のパワー接近が同時に生じる現代において、経済と安全保障はいかなる関係に立つことになるのか。そのような大きな問題意識を持ちながら、本プロジェクトは研究を進めていくことになります。
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