成果報告

2021年度ワーキング・ペーパー・シリーズ No.5 / 渡部俊也 (東京大学)・吉岡 (小林) 徹 (一橋大学)

2021.07.14wed

安全保障の観点における特許登録延期制度および補償金に関して ― 所謂「秘密特許制度」に関する論点 ―

技術情報の国外流出を防ぐためにいわゆる「秘密特許制度」を導入するとすればどのような論点について議論が尽くされるべきであろうか。本稿は安全保障輸出管理の議論と知的財産制度を架橋する観点から議論を行った。その結果、3つの論点についての提言を行った。第一に、秘密特許制度は限られた範囲の機微技術のみを対象とするべきであること。第二に、特許制度の趣旨から考えると、秘密に特許を付与する制度は特許制度の趣旨に適合していないため、登録延期制度を中心として検討されるべきであること。第三に、秘匿に対するインセンティブ付与、および、米国の制度についての実証研究が明らかにした、秘密特許制度が持つ技術開発に対する不利益の解消のため、十分な補償が用意されるべきであること。