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古月文志 未来ビジョン研究センター特任教授
坂田一郎 工学系研究科教授
古月文志特任教授・坂田一郎教授らの亜鉛/マンガン2次電池に関する研究成果がJournal of Materials Chemistry Aに掲載されました
古月文志 未来ビジョン研究センター特任教授 坂田一郎 工学系研究科教授
今日、発電量の変動が大きい太陽光発電や風力発電の拡大に伴って、その電力を貯蔵するための低コストのスマートグリッド向け定置用電池とそれを用いた貯蔵ステーションの建設が重要な社会課題となっています。
この課題に関し、亜鉛/マンガン2次電池は大容量のエネルギー貯蔵に最も適した電池として期待されています。亜鉛/マンガン2次電池は、金属亜鉛を負極活物質、酸化マンガンを正極活物質、そして、硫酸亜鉛と硫酸マンガンの水溶液を電解質として用いる電池です。亜鉛とマンガンはいずれも、地球上に豊富に存在する物質であり、リチウムイオン電池と異なって、資源制約は存在しません。また、リチウムイオン電池と比較して、安価であり、安全性も高い。この亜鉛/マンガン2次電池の原型は1988年に報告されています。しかし、この電池に関する蓄電/放電の原理は、未だに完全に解明されていないものでした。
東京大学工学系研究科GONG WEI特別研究員、未来ビジョン研究センターナノテクノロジーユニット古月文志特任教授、坂田一郎教授らは、この亜鉛/マンガン2次電池に関して、蓄電/放電の原理を明らかにすると同時に、カーボンナノチューブネットワークに酸化マンガンと金属亜鉛を挿入することによって、亜鉛/マンガン2次電池のエネルギー密度と充放電サイクル耐久性を著しく向上させる技術を開発しました。
この研究成果は、Royal Society of Chemistry が発行する学術誌 Journal of Materials Chemistry Aに2022年7月6日付けで掲載されました。
(画像提供:木下真一郎)
タイトル:
Electrochemistry of rechargeable aqueous zinc/zinc-sulphate/manganese-oxide batteries and method for preparation of high-performance cathodes.
共同研究者:
Wei Gong, Bunshi Fugetsu, Wei Mao, Adavan Kiliyankil Vipin, Ichiro Sakata、Lei Su, Xueji Zhang & Morinobu Endo
ジャーナル:
Journal of Materials Chemistry A, 2022
DOI: 10.1039/d2ta03729g
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2022/ta/d2ta03729g/unauth