• 論文

    川崎 昭如 未来ビジョン研究センター教授

川崎昭如教授の研究論文がInternational Journal of Disaster Risk Reductionに掲載されました

洪水リスクの増大が予測される中、開発途上国の洪水常襲地域における直接的な洪水被害を軽減するだけでなく、長期的な生計向上、ひいては社会経済発展への貢献が期待できる効果的な洪水リスク管理(FRM)の策定が極めて重要です。これまで多くの研究が洪水対策の便益として被害回避を評価する一方で、リスク軽減による長期的・間接的な住民の生計改善への影響を考慮している研究はほとんどありません。本稿では、洪水常襲地域の住民による安全意識の醸成と生計向上との関係を捉える新しい数値計算枠組みを提示しました。

頻繁に洪水に見舞われるミャンマーのバゴー市をケーススタディとして、本枠組みを適用し、将来の気候と社会経済状況が変化するシナリオの中で、127の洪水管理戦略を評価しました。その結果、洪水損失の回避と並んで、住民の生活改善による長期的な便益を定量化した場合、洪水管理戦略の費用対効果のランキングを変えるほどの大きな影響を与えることが示されました。この結果から、洪水常襲地域の持続可能な開発を促進するためには、洪水管理の政策策定において住民の長期的な生計改善の便益を組み込むことの重要性が示されました。

タイトル:


Reevaluating the benefit of flood risk management for flood-prone livelihoods

著者:


Chinami Yamagami and Akiyuki Kawasaki

ジャーナル:


International Journal of Disaster Risk Reduction
Volume 106
DOI 10.1016/j.ijdrr.2024.104416

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東京大学未来ビジョン研究センター
教授 川崎 昭如
https://ifi.u-tokyo.ac.jp/people/kawasaki-akiyuki/