第2回「コロナと未来」研究Webinarシリーズ
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日程:2020年07月06日(月)
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時間:9:00-10:30
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会場:ZOOMでのオンライン開催となります
ご登録完了後、2020年7月3日(金)午後に事務局より招待URLをお送りします。 -
言語:
日本語
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定員:
50名
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主催:
東京大学未来ビジョン研究センター SDGs協創研究ユニット
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対象者:
どなたでもご参加いただけます(東大外、学生の参加も歓迎)。
但し、一般向けシンポジウムではなく、研究ウェビナーである点、ご了承ください。 -
申込締切:
2020年7月3日(金)12:00まで
定員に達し次第、受付を終了いたします。予めご了承ください。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界規模での感染拡大により、我々の生活は大きな変容を求められており、これまでとは違った新たな社会のあり方やライフスタイルの構築が喫緊の課題になっています。すなわち、「Pre-Corona」の状態に単に戻すのではなく、今後しばらくはウイルスと共存しながら社会経済活動をしていく、「Intra-Corona」の生活が続くことになります。
この度、未来ビジョン研究センターでは現在と、その先の「Post-Corona」時代を見据え、より進化した持続可能な未来社会の姿について考えるため、様々な分野の専門家をお呼びする研究ウェビナーを企画いたしました。皆様のご参加をお待ち申し上げております。
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講演1羽藤英二 東京大学大学院工学系研究科 教授
「次の都市を考える」
工学系研究科学術戦略室では、COVID-19による被害が拡大する中、ポストコロナの未来構想を描くことを目的に、新たな研究課題の公募を行い、医療防疫・ニューライフ/都市と交通・教育と研究について77の研究提案の応募を受け付けた。今回の講演では、6月27日に開催される公開シンポジウムの議論を下敷きに、未曾有の事態を引き起こしている世界の動向を踏まえて、リモート社会・ディスタンシングデザイン、レジリエンス都市の視点から、次の都市とその未来ビジョンの論考を試みる。 -
講演2味埜俊 東京カレッジ 特任教授
「ポストコロナ社会とSDGs:東京カレッジにおける議論を通して」
人類が目指すべき共通の目標として国連が2015年に掲げたSDGsを全世界が推進している最中に、いわゆる「コロナ危機」(新型コロナウイルス COVID-19によるパンデミック)が起こった。「新たな日常」と称されるポストコロナ社会を構築していく上で、SDGsはどのような意味を持つのか、SDGsがどのように貢献できるのかを論じるとともに、コロナ危機を経験したことによりSDGsをどのように見直してゆくべきかを考える。 -
コーディネーター菊池康紀 東京大学未来ビジョン研究センター 准教授
–羽藤英二(東京大学大学院工学系研究科 教授)
東京大学教授,愛媛大学を経て現職。経済財政諮問会議専門委員などを歴任。専門は交通・都市・国土学。中国での都市設計や、各地の災害復興計画に取り組む。移動体位置データ解析と行動モデル研究の成果で土木学会論文賞、WCTRBursry Prizeなどを受賞。
–味埜俊(東京カレッジ 特任教授)
1978年東京大学工学部卒、1983年同大学院工学系研究科にて博士(工学)取得。工学部、工学系研究科、新領域創成科学研究科で、助手、講師、助教授、教授を務め、2020年4月から現職。この間、アジア工科大学院(タイ・バンコク)准教授、デルフト工科大学(オランダ)客員研究員、チャルマーズ大学(スウェーデン)客員教授などを務める。排水処理の微生物生態学・モデリングを本来の専門とし、2005年東京大学サステイナビリティ学連携研究機構の立ち上げに参加して以降、サステイナビリティ学教育の構築に尽力し、2007-2020年の期間、新領域創成科学研究科に設置した修士・博士学位プログラム「Graduate Program in Sustainability Science (GPSS)」のコーディネータを務めた。
未来ビジョン研究センターでは、現在とその先の「Post-Corona」時代を見据え、より進化した持続可能な未来社会の姿について考えるため、様々な分野の専門家をお呼びして議論する、「コロナと未来」研究Webinarシリーズを開催しております。2020年7月6日(月)に、その第2回として、東京大学大学院工学系研究科教授の羽藤英二氏と東京大学東京カレッジ特任教授の味埜俊氏をお招きし、約50名の参加を得て開催いたしました。
はじめに、羽藤氏より、「次の都市を考える」と題し、工学系学術戦略室の取組みとして、コロナウイルス感染症対応やその先のポストコロナ社会を見据えて、工学研究がどのような貢献ができるか、意見やアイデアを募集した結果、先行や分野を超えた数多くの提案が寄せられ、また多くのアイデアが学生や若手から出たことが紹介されました。また、リモート都市やディスタンシング、事前復興に関するこれまでの研究についてご説明いただいた上で、ポストコロナ時代を見据えた未来の都市像として、密度がそれほど高くない地方都市にこれから大きな可能性がある一方、複合的な災害にどう対処するかという課題も示されました。
次に、味埜氏より、「ポストコロナ社会とSDGs ~ 東京カレッジにおける議論を通して」と題し、コロナ危機という経験を今後のSDGsにどう活かせるか、現在行われている東京カレッジでの議論を踏まえてお話しいただきました。自治体や企業のSDGsへのこれまでの取組みについてご紹介いただいた上で、社会の脆弱性をあぶり出し、人類のサステイナビリティを脅かしかねないパンデミックという事態に遭遇している現在、SDGsが示してきた将来像の実現を求めてゆくことが将来のパンデミック対策にとって大きな意味があり、その際、利他性・公共性が重要な理念となること、また、多様な視点を共有しつつ、パートナーシップの重要性をより意識しながらSDGsを目指す必要があることがコロナ危機の経験から明確になったとご指摘いただきました。
その後の質疑応答では、羽藤氏より、災害時に築かれたネットワークや経験が平時にも活用できるとし、平時と災害時を一体として見ることの重要性が指摘されました。味埜氏からも、この危機を転機とし、実体験と想像力を活かして日常に埋め込まれたセーフティネットを社会経済システムの中に構築するためのアイデアを社会に発信していくことが大学の使命だとのご見解が示されました。
(文・写真:未来ビジョン研究センター 武藤淳)