環境研究総合推進費2-2104国民対話シンポジウム 「シナリオ研究とトランジション研究で迫る脱炭素の姿」
-
日程:2021年12月21日(火)
-
時間:15:00-16:30
-
会場:ZOOMでのオンライン開催
-
言語:
日本語
-
定員:
250名
-
主催:
東京大学未来ビジョン研究センター
持続可能な未来のための日本モデル相互比較プラットフォーム(JMIP) 研究ユニット -
対象者:
一般公開
-
申込締切:
2021年12月17日(金)正午まで
※ご登録完了後、12月20日(月)午後に事務局より招待URLをお送りします。
定員に達し次第、受付を終了いたします。予めご了承ください。
気候変動対策として脱炭素の議論が加速しており、日本でも改正地球温暖化対策推進法に2050年温室効果ガス正味排出量ゼロが書き込まれ、2050年を見据えたエネルギー基本計画が閣議決定されました。しかしながら、脱炭素の道筋はどうあるべきか、政策としては何をとるべきか、またどのような課題があるのか等については具体的な議論が始まったばかりです。
本シンポジウムでは、環境研究総合推進費プロジェクト2-2104「脱炭素トランジション:イノベーションとライフスタイル変容の複数モデル評価」の研究結果を踏まえまして、脱炭素の道筋について皆様とディスカッションしていきたいと思います。脱炭素の議論の際に用いられるシナリオとトランジションをキーワードに、脱炭素の姿に迫って参ります。
-
15:00-15:05開会挨拶
杉山 昌広(東京大学未来ビジョン研究センター 准教授, 2-2104 研究代表者)
「趣旨説明及び研究プロジェクトの全体像」 -
15:05-15:20講演1「複数のモデル分析からの示唆 」
杉山 昌広(東京大学未来ビジョン研究センター 准教授)
-
15:20-15:35講演2「AIM/Technology-Japanによる脱炭素シナリオ分析」
大城 賢(京都大学大学院工学研究科 助教)
-
15:35-15:50講演3「トランジション研究から見る脱炭素化」
木村 宰(電力中央研究所 上席研究員)
-
15:50-16:25パネルディスカッション及び質疑応答
杉山 昌広(東京大学未来ビジョン研究センター 准教授)
大城 賢 (京都大学大学院工学研究科 助教)
木村 宰 (電力中央研究所 上席研究員) -
16:25-16:30閉会挨拶
杉山 昌広(東京大学未来ビジョン研究センター 准教授)
※プログラムは都合により変更になる場合があります。
本シンポジウムは(独)環境再生保全機構の環境研究総合推進費(JPMEERF20212004)の支援により開催されます。
東京大学未来ビジョン研究センター
持続可能な未来のための日本モデル相互比較プラットフォーム(JMIP) 研究ユニット
E-mail: sugiyama-staff★ifi.u-tokyo.ac.jp(★→@に置き換えてください)
冒頭に杉山准教授が、カーボンニュートラルや脱炭素、正味ゼロ排出(ネットゼロ)が話題になる中、シナリオ研究・トランジション研究への需要が強まっていることを述べ、本研究課題2-2104の背景と目的について説明した。3年間で日本の主要な統合評価モデル/エネルギー・システム・モデルへの参画を頂いた複数モデル分析を行い、トランジション研究に基づいた政策的含意の導出を目指すことを述べた。
続いて、杉山准教授は「複数のモデル分析からの示唆 」と題して、単一モデル分析と複数モデル分析を組み合わせることの必要性、および3年間の初年度の暫定的な結果を説明した。2050年までに排出量80%削減を中心に分析した以前の研究と同じ傾向として、電力の脱炭素化、経済全体のエネルギー効率化、需要側の電化などが見いだされたが、ネットゼロ(100%削減)の場合は二酸化炭素除去(carbon dioxide removal, CDR)もモデルによらず重要性が示された。
大城助教は「AIM/Technology-Japanによる脱炭素シナリオ分析」と題して、AIM/Technologyが参画した以前の研究による含意をまとめ、その上で詳細な分析を提示した。以前の研究からは経済性に基づくと気温上昇を1.5℃に抑える目標では日本のネットゼロは2050年より少し遅くなるが、公平性を考えると早まる。前述したように100%削減ではCDRが重要になるが、CDRの導入量に制約をかけると水素や合成燃料の導入量が増えた。CDRはコスト効率的な対策オプションではあるが、今後の検討が重要になる。
木村上席研究員は「トランジション研究から見る脱炭素化」と題して、シナリオ研究と並んで特に欧州で関心を呼んでいる持続可能性へのトランジション(社会技術トランジション分析)について紹介した。中でも有力の理論として、社会と技術が組み合わさった社会技術システムが持続可能な姿へ移行するには外部要因の影響に助けられ、新たな取り組みであるニッチが社会技術システム自体と相互作用してトランジションが進むことを説明した。また欧州のPATHWAYSの事例でどのようにシナリオ研究とトランジション研究が連携できるかについても一つの方向性を示した。
リアルタイムのアンケートでは多くの回答者が二酸化炭素除去については「まあまあ知っていた」と回答した一方、持続可能性へのトランジションでは6割が「あまり知らなかった」「知らなかった」と回答した。他にも質疑応答ではモデル上でシナリオの「解が存在しない」場合のコミュニケーションの仕方などが論点にあがった。