「人権・民主主義・法の支配」に基づくAI条約を目指して:欧州評議会における起草交渉の現在
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日程:2022年10月11日(火)
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時間:16:00-18:00
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会場:オンライン(Zoom)
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主催:
東京大学未来ビジョン研究センター
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言語:
日本語
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参加費:
無料
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参加申込み:
※お申込みの方に、10月7日(金)に参加用URLをメールにてお送りしました。
※メールを受け取っていない方は、ifi_ai★ifi.u-tokyo.ac.jp までお知らせください(★→@にしてください)。
欧州評議会(Council of Europe:CoE)は、「人権・民主主義・法の支配」という価値を掲げる国際機構です。欧州連合(European Union:EU)の27カ国よりも多い、ヨーロッパ46カ国が加盟しており、日本も長年オブザーバー参加しています。
その欧州評議会では2016年ごろから人工知能に関する議論を開始しました。人権保障に配慮したAIなどの必要性が指摘され、2019年には閣僚委員会において「AIに関するアドホック会合(Ad hoc Committee on Artificial Intelligence:CAHAI)」が設立され、人権・民主主義・法の支配という価値に適うAIの開発、設計、適用のための法的枠組みの実現可能性に関する検討が開始されました。2年間にわたるCAHAIの議論で法的枠組み作成の準備作業を行い、2022年4月にはCAHAIでの議論を引き継いで、具体的な条約を起草する「AIに関する委員会(Committee on Artificial Intelligence:CAI)」が設立されました。CAIでは2023年末までにAIの開発・設計・運用に関する初のAI条約の策定が任務として定められています。
欧州におけるAIのハードロー策定というと欧州連合の議論ばかりに目が行きがちですが、本イベントではもう一つの欧州の連合体である欧州評議会では、どのような議論が展開されてきたのかを、欧州評議会の実質的な日本代表部として機能している在ストラスブール日本国総領事館関係者に話題提供いただいて概観します。
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16:00-16:10開会挨拶
東京大学未来ビジョン研究センター 江間有沙
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16:10-16:30「欧州評議会のミッションとCAHAIの設立」
元在ストラスブール日本国総領事館 齋藤千紘・小島秀亮
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16:30-16:50「CAIでの起草交渉の現状」
在ストラスブール日本国総領事館 岩城光・平野徹之
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16:50-17:00「オブザーバー国としての立場から」
総務省国際戦略局 飯田陽一
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17:00-18:00パネルディスカッション/質疑応答
東京大学未来ビジョン研究センター
AIガバナンスプロジェクト事務局
E-mail: ifi_ai★ifi.u-tokyo.ac.jp(★→@に置き換えてください)
2022年10月11日(火)に東京大学未来ビジョン研究センター主催イベント、「『人権・民主主義・法の支配』に基づくAI条約を目指して:欧州評議会における起草交渉の現在」が開催されました。
欧州評議会(Council of Europe:CoE)は、「人権・民主主義・法の支配」という価値を掲げる国際機構です。欧州連合(European Union: EU)の27カ国よりも多い、ヨーロッパ46カ国が加盟しており、日本も長年オブザーバ参加しています。
その欧州評議会では2016年ごろから人工知能(AI)に関する議論を開始しました。人権保障に配慮したAIなどの必要性が指摘され、2019年には閣僚委員会において「AIに関するアドホック会合(Ad hoc Committee on Artificial Intelligence: CAHAI)」が設立され、人権・民主主義・法の支配という価値に適うAIの開発、設計、適用のための法的枠組みの実現可能性に関する検討が開始されました。2年間にわたるCAHAIの議論で法的枠組み作成の準備作業を行い、2022年4月にはCAHAIでの議論を引き継いで、具体的な条約を起草する「AIに関する委員会(Committee on Artificial Intelligence: CAI)」が設立されました。CAIでは2023年末までにAIの開発・設計・運用に関する初のAI条約の策定が任務として定められています。
欧州におけるAIのハードロー策定というと欧州連合の議論ばかりに目が行きがちですが、本イベントではもう一つの欧州の連合体である欧州評議会では、どのような議論が展開されてきたのか。欧州評議会の実質的な日本代表部として機能している在ストラスブール日本国総領事館関係者に話題提供いただきました。
最初に、「欧州評議会のミッションとCAHAIの設立」と題して元在ストラスブール日本国総領事館 小島秀亮氏に欧州評議会の活動理念や歴史、EUとの違いをご説明いただきました。続いて、同じく元在ストラスブール日本国総領事館 齋藤千紘氏に、欧州評議会でのAIを巡る議論の経緯やCAHAIの活動や到達点についてご紹介いただきました。
続いて、「CAIでの起草交渉の現状」と題して在ストラスブール日本国総領事館 岩城光氏よりCAIの概要と、現在起草中であるゼロドラフトの概要や今後の課題について解説いただきました。CAIのAI条約の特徴としては、「人権、民主主義、法の支配影響評価(HUDERIA)」というAIのリスク影響評価の共通の方法論を模索しているところも挙げられます。その後、同じく在ストラスブール日本国総領事館 平野徹之氏からはEU規則案との比較が紹介されました。
二つの話題提供に対し、「AI原則に関する国際的議論の推移とCAI(欧州評議会AI委員会)オブザーバとしての立場」と題して総務省国際戦略局 飯田陽一氏から日本のAIに関する議論の経緯と国際的な取り組みへの関与を紹介いただきました。
パネルディスカッションでは、最初に欧州評議会と他機関との関係性が確認されました。CAHAIの議論は2017年から徐々に開始したこともあり、先行するOECDやEUの議論も参考にしています。また日本だけではなくアメリカ、カナダもオブザーバ国として参加をしており、そのほか、地理的に近隣の国であるイスラエルがオブザーバ参加をしています。
AIという技術やサービスはその性質上ボーダーレスに展開をしていく以上、欧州評議会においても加盟国だけではなく域外の国の参加や調整も必要と認識されています。そのためCAIは基本原則又は達成目標を定める枠組条約の作成を目的としており、締約国に目標達成手段の裁量がある形となります。
CAIは2023年11月をめどとするAIの枠組条約の起草を目的としています。オブザーバ国の日本としても、CAIのAI条約というある程度裁量のあるハードローを介することで、欧州のAI規制の動向についても働きかけができるのではないかとの議論が行われました。
参考資料
欧州評議会そのものについての詳細は、話題提供者の齋藤氏、小島氏が執筆された「〈人権の守護者〉欧州評議会入門」信山社、2022年(外部リンク) から読むことができます。