第4回「コロナと未来」研究Webinarシリーズ
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日程:2020年09月11日(金)
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時間:10:00-11:30
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会場:ZOOMでのオンライン開催となります
ご登録完了後、2020年9月10日(木)午後に事務局より招待URLをお送りします。 -
言語:
日本語
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定員:
50名
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主催:
東京大学未来ビジョン研究センター SDGs協創研究ユニット
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対象者:
どなたでもご参加いただけます(東大外、学生の参加も歓迎)。
但し、一般向けシンポジウムではなく、研究ウェビナーである点、ご了承ください。 -
申込締切:
2020年9月10日(木)12:00まで
定員に達し次第、受付を終了いたします。予めご了承ください。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界規模での感染拡大により、我々の生活は大きな変容を求められており、これまでとは違った新たな社会のあり方やライフスタイルの構築が喫緊の課題になっています。すなわち、「Pre-Corona」の状態に単に戻すのではなく、今後しばらくはウイルスと共存しながら社会経済活動をしていく、「Intra-Corona」の生活が続くことになります。
この度、未来ビジョン研究センターでは現在と、その先の「Post-Corona」時代を見据え、より進化した持続可能な未来社会の姿について考えるため、様々な分野の専門家をお呼びする研究ウェビナーを企画いたしました。皆様のご参加をお待ち申し上げております。
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講演1中尾彰宏 東京大学大学院・情報学環 学際情報学府 教授
「COVID-19で顕在化した情報通信の重要性 研究教育の継続を可能とする行動変容
のためのリアルタイムモニタリング」世界を一瞬で機能停止に陥れた新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、全国民が情報通信の果たす重要な役割を再認識する契機となった。情報通信の進化は、臨場感のある遠隔での社会活動を可能とし、また、リアルタイムで大容量のデータを収集・解析して利活用し、コロナと共に生きるための知恵を与える、強靱な知識集約型社会の形成に必須であることが明確となりつつある。ウィズコロナで研究教育の継続性を担保するための我々の様々な取り組みを議論する。
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講演2飯島勝矢 東京大学高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センター 教授
「COVID-19がもたらした高齢者への医療的問題と社会的問題 ~Withコロナ社会におけるNew Normalへのチャレンジ~」
健康長寿社会実現のため、「フレイル(虚弱)予防」を軸とする住民主体活動を底上げしたまちづくり戦略が必須である。COVID-19問題により、我々フレイル予防研究チームによる調査により、高齢者の二次健康被害(生活不活発、食の偏り、社会・人との繋がりの断絶等によるフレイル状態の悪化)が見えてきた。すなわち医学的問題と社会的問題の両面である。新しい生活様式に加え、地域での新たな集い方/人との繋がり方の構築に今取り組んでおり、そこにはオンサイトとオンライン技術のハイブリッド型を模索していく必要がある。
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コーディネーター孫 輔卿 東京大学高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センター 特任講師
–中尾彰宏(東京大学大学院・情報学環 学際情報学府 教授)
1991年、東京大学理学部卒。1994年、同大学大学院工学系研究科修士課程修了。同年、日本IBM・米IBMテキサスオースチン研究所・東京基礎研究所などを経て、米プリンストン大学大学院コンピュータサイエンス学科にて修士号および博士学位取得。2005年、東京大学大学院情報学環 助教授に就任2007年4月から准教授。2014年から現職。2019年より東京大学総長補佐・大学院情報学環副学環長兼任、2020年東京大学総長特任補佐兼任。第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)ネットワーク委員会委員長兼任など政府研究会委員多数。総務省委託リーダーおよび全体統括など、複数の産学連携プロジェクトのリーダーを務めている。
–飯島勝矢(東京大学高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センター 教授)
1990年 東京慈恵会医科大学 卒業、東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座 助手、講師、米国スタンフォード大学医学部研究員を経て、2016年 東京大学高齢社会総合研究機構教授、2020年同研究機構 機構長・東京大学未来ビジョン研究センター教授。 他、内閣府「一億総活躍国民会議」有識者民間議員、厚生労働省「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」ボードメンバー、日本学術会議「臨床医学委員会 老化分科会」ボードメンバー. 近著:「東大が調べてわかった衰えない人の生活習慣」(KADOKAWA)、「健康長寿 鍵は“フレイル”予防 〜自分でできる3つのツボ〜」(クリエイツかもがわ)
未来ビジョン研究センターでは、現在とその先の「Post-Corona」時代を見据え、より進化した持続可能な未来社会の姿について考えるため、様々な分野の専門家をお呼びして議論する、「コロナと未来」Webinarシリーズを開催しております。2020年9月11日(金)に、その第4回として、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授の中尾彰宏氏と東京大学高齢社会総合研究機構・未来ビジョン研究センター教授の飯島勝矢氏をお招きし、約40名の参加を得て開催いたしました。
はじめに、中尾氏より、「COVID-19で顕在化した情報通信の重要性 研究教育の継続を可能とする行動変容のためのリアルタイムモニタリング」と題してお話をいただきました。情報通信技術の進化の流れと第五世代移動通信(5G)について概説していただいた上で、東京大学構内で実施している、移動通信事業者による空間統計データを活用した「3密センサー」、および厚生労働省のアプリ「COCOA」の通信をモニタ利用する「3密」センシングシステムについてご解説いただき、このようなセンシングシステムの普及には、技術的な課題よりもむしろ倫理的な課題が大きいと指摘されました。また、Beyond 5G/6Gの研究開発で、様々な機能を具備する強靱なインフラの重要性が高まっており、密をセンシングする機能が前提となるインフラの登場が考えられるとのお話がありました。
次に、飯島氏より、「COVID-19がもたらした高齢者への医療的問題と社会的問題 ~Withコロナ社会におけるNew Normalへのチャレンジ~」と題してお話をいただきました。まず、「フレイル」という概念についてご説明いただき、これまでのフレイル予防を通した高齢住⺠主体の健康⻑寿まちづくりの取組みについてご紹介いただきました。一方、コロナ禍による外出自粛生活の長期化で、身体機能の低下を含めてフレイル状態が悪化している現状が示され、オンライン技術も駆使しつつ、地域活動を再開していくことの重要性を指摘されました。また、Withコロナ社会における個人や社会のNew Normal再構築のための国家戦略として、「感染拡大」「経済」「健康・健全な地域社会」の3つを守ることを政府に提言されたことをお話しいただきました。
その後の質疑応答では、中尾氏、飯島氏それぞれに対して参加者から様々な観点からご質問が寄せられたほか、講演者お二方の間で、ポストコロナ時代を見据えて、独居在宅療養の現場の悩みなど、高齢者をめぐる新しい社会課題を情報通信技術の活用によって解決していくといった、今後のコラボレーションの可能性について議論が交わされました。
(文・写真:未来ビジョン研究センター 武藤淳)