SDGsセミナーシリーズ: Where will they all live? negotiating access to housing in Karachi and Manila

  • 日程:
    2020年09月23日(水)
  • 時間:
    13:30-15:00
  • 会場:
    ZOOMでのオンライン開催となります
    ご登録完了後、事務局より招待URLをお送りします
  • 題目:

    Where will they all live? negotiating access to housing in Karachi and Manila

  • 言語:

    英語

  • 主催:

    東京大学未来ビジョン研究センターSDGs協創研究ユニット

  • 登録方法:

    事務局に直接参加希望の旨、ご連絡ください
    sdgs★ifi.u-tokyo.ac.jp
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概要

As more and more people move to cities, the challenges of getting access to basic amenities, living in secure spaces, and finding sustainable means of livelihood—all pose significant challenges to people and governments. There are no easy fixes. Shaped by interactions among processes of (in)formal governance, local politics, and neoliberal policies, cities are complex spaces. For many, life can be challenging, and urban spaces unequal and insecure. While the workings of inequality may be visible along class, gender, sexuality, ethnicity, race, or religion, insecurity may be experienced through direct (state, non/state) as well as structural and cultural violence.

How do people, especially, the underprivileged sections of society, negotiate everyday living? What is the nature of challenges for the majority of people living in cities? Our speakers address these questions through the lens of access to housing, especially informal settlements in Karachi, Pakistan, and Metro Manila, Philippines.

講演者

Dr. Noman Ahmed (Professor & Dean, Faculty of Architecture and Management Sciences at NED University of Engineering and Technology, Karachi)

Dr. Chester Antonino Arcilla (Assistant Professor of Economics, Development Studies, and Sociology, the University of the Philippines).

司会:Dr. Nazia Hussain (IFI, University of Tokyo)

SDGsユニットが主催し、ナジア・フサイン助教が司会を務めた本セミナーにおいて、ノマン・アフメド教授とチェスター・アルシラ助教は、アジアの重要な巨大都市カラチとマニラ首都圏における住居に関する問題を議論しました。本セミナーは、都市化が進む世界におけるガバナンスや生活の不安定化といった課題を取り上げる4回連続セミナーの第3回にあたります。

「住居へのアクセスと権利に関する問題:パキスタンのカラチの事例」と題する講演においてアフメド教授は、恵まれない人々が直面する課題を強調しました。教授は、住居を大量生産・供給され、一様に「消費」される有形の製品と見なす認識に異を唱えました。住居とは変化していくものです。居住者のニーズ、外生的な経済的・社会的影響、技術、ガバナンスのメカニズム、そして技術の変化によって、それは絶えず進化しています。住居をめぐる一般的な課題としては、恵まれない人々のための選択肢の減少、公営住宅の規模と供給の縮小、土地の商品化が挙げられます。カラチはこれらの課題を含む多くの課題に直面しています。

カラチの住居需要は、人口の自然増加、大家族から核家族への細分化、移住、需要に合わない売れ残り、老朽化した住宅の建て直しなどによって発生しています。都市の貧困層は、様々な理由によってひどい状態でくらしています。過去30年にわたって、政府機関は土地の供給政策を実施してきませんでした。人々は、様々な形で不法占拠地に住み続けています。一方で、立ち退きと撤去は年々増加しています。貧困層は都市から離れた周辺部への移動を強いられ、通勤コストの増加、生計手段の選択肢の減少、社会サービスへのアクセスの制約に直面しています。政府機関と役人は、不法占拠者とは犯罪者であり、都市から追放すべき「反社会的」要素であると信じています。周辺化された都市の貧困層を支援する仕組みは限られています。しかし、貧困層が、日々の生活で直面する様々な脅威と課題を乗り越えるために、彼らの内部で社会的なつながりを築いている地域もあります。

こうした過酷な生活状況に関する客観的な分析が必要です。それに基づいて、都市の貧困層の住居を改善する実行可能な解決策を進展させるための話し合いを始める必要があります。そのような手法が採用されたならば、カラチにとって大きな利益になりえるでしょう。

アルシラ助教は、マニラ首都圏の住居問題についての彼の見解を述べ、フィリピンの貧困層のための手頃でまともな住居をめぐるとらえどころのない性質を説明しました。「フィリピンにおける都市サバルタンの住居:コミュニティ・バリケード、政府の交渉、スラム社会の細分化」と題する講演においてアルシラ助教は、かつての公営住宅政策から、外国資本や在外フィリピン人からの送金によって都市を高級化するために、フィリピンの都市サバルタンを非持続的で居住に適さない市外地域に再定住させる政策への転換がいかに起きたかを論じました。マニラ首都圏のスラムで行った約6年間の民族学的調査に基づいて、いかに多元的な草の根の社会性が影響を受けたか、また、いかに人々が、強制立ち退きや撤去、あるいはその他のスラムを排除する新自由主義的な方法に対応したかを強調しました。居住権と包摂的な都市開発のための闘争において、サバルタンは「沈黙の浸食(quiet encroachment)」から交渉と対決のポリティクスまで、幅広い戦略を採用しました。対決のポリティクス(politics of confrontation)とは、コミュニティ・バリケードを築くことによって、「民主的な参加」のための領域を共同で主張して拡大するものであり、長年にわたる沈黙の浸食の能力に基づいて構築されています。政府やエリートとサバルタンの間の非対称な関係を考えると、闘争による民主主義の拡大は都市のいくらかの余剰の再分配を可能にはしますが、新自由主義の合理化の中で慣習化されてしまいます。草の根の組織の中には、スラムの人々を市場セグメントに分離し、限られた住居資源にアクセスし、家族のためのシェルターを確保するための「生産的な」主観を促進することを余儀なくされています。断片化されたコミュニティは、貧困層のなかで最も貧しい人々を排除し、すべての人のために都市闘争を行う権利の正当性を損ないます。これは、エリートの蓄積(elite accumulations)のための新自由主義的な奪有(neoliberal dispossessions)がスラムに浸透していることを反映した状況です。

質疑応答において参加者は、フィリピンのスラム居住者が、住居に関する要求を有利に進めるために票田としての彼らの人数を活用したか、また、彼らの行動が急進的な階級政治の可能性を含んでいるかどうかを質問しました。アルシラ助教は、確かに都市のサバルタンは伝統的に沈黙の浸食とパトロン政治を最大限に活かす戦略をとってきたと述べました。しかし、最高級の地所の供給に対する経済的エリートからの圧力の増加と、外国資本および在外フィリピン人の資本を引きつける都市空間の商品化は、強制立ち退きを増加させ、コミュニティ・バリケードに象徴される対決のポリティクスの出現をもたらしました。フィリピンの都市サバルタンによる急進政治の可能性は、2010年に成功したサン・ロケでのバリケードや、最近のカダマイ(Kalipunan ng Damayang Mahihirap :Kadamay)による住宅の占拠といった歴史的瞬間に見られます。アルシラ助教は、都市の貧困層は、それ自体では、包摂的で社会的に公正な都市開発の主張を維持できないと主張しました。新自由主義的な開発から取り残されたすべての都市市民による政治参加が必要なのです。彼はまた、どんなに制限されても、急進政治は、十分な住居への権利を政府に認識させ、より多くの譲歩を引き出すことになると述べました。

今次セミナーの動画は、下記東大TVで視聴いただけます。ご関心があれば、ぜひこちらもご確認ください。