第6回「コロナと未来」研究Webinarシリーズ
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日程:2020年11月05日(木)
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時間:10:30-12:00
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会場:ZOOMでのオンライン開催となります
ご登録完了後、2020年11月4日(水)午後に事務局より招待URLをお送りします。 -
言語:
講演・スライドは中国語で行い、スライドに日本語解説を記載します。
質疑応答・ディスカッションは中国語・日本語の逐次通訳で行います。 -
定員:
50名
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主催:
東京大学未来ビジョン研究センター SDGs協創研究ユニット
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対象者:
どなたでもご参加いただけます(東大外、学生の参加も歓迎)。
但し、一般向けシンポジウムではなく、研究ウェビナーである点、ご了承ください。 -
申込締切:
2020年11月4日(水)12:00まで
定員に達し次第、受付を終了いたします。予めご了承ください。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界規模での感染拡大により、我々の生活は大きな変容を求められており、これまでとは違った新たな社会のあり方やライフスタイルの構築が喫緊の課題になっています。すなわち、「Pre-Corona」の状態に単に戻すのではなく、今後しばらくはウイルスと共存しながら社会経済活動をしていく、「Intra-Corona」の生活が続くことになります。
この度、未来ビジョン研究センターでは現在と、その先の「Post-Corona」時代を見据え、より進化した持続可能な未来社会の姿について考えるため、様々な分野の専門家をお呼びする研究ウェビナーを企画いたしました。皆様のご参加をお待ち申し上げております。
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講演1王博 蘭州大学資源環境学部 教授・副学部長
「新型コロナウイルスのエアロゾル感染対策」
室内の空気の質を良好に保つことは、ウイルスの拡散を抑制し、人間の健康を維持するための重要な安全策です。本講演では、新型コロナウイルスの流行に伴う室内空気汚染対策とその重要性について議論し、コロナ禍においてチームが開発した「5-in-1」の室内空気汚染対策技術を紹介します。
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講演2程光泉 北京師範大学北京文化発展研究院交流部 教授・主任
「過去から学ぶ:次のパンデミックにどう立ち向かうか」
人類の文明の歴史は疫病の歴史と共にあり、人類が新たな問題に直面するたびに歴史は繰り返されています。中国古代の政治論集である管子には、「現代に疑問を感じるのであれば、歴史を学ぶことだ」と書かれています。新型コロナウイルスの流行による混乱の中で、歴史を振り返り、過去の教訓からヒントを得ることは、とても効果的な方法です。本講演では、人類の歴史、特に中国の歴史上に起きた主な疫病を振り返り、人類が疫病と闘って共存してきた経験をお話します。次のパンデミックの手がかりを発見し、人間論的な観点から疫病を予防するための可能な仮説を提供します。
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コーディネーター浦 剣( 東京大学未来ビジョン研究センター 助教)
–王博 (蘭州大学資源環境学部 教授・副学部長)
1978年生まれ。蘭州大学資源環境学部副学部長、環境科学工学部学科長、甘粛微粒子状物質汚染制御技術・設備工学研究センター主任。中国教育部「新世紀の優れた人材」。2000年に西安交通大学で材料科学と工学の学士号、2009年にオーストラリアのニューサウスウェールズ大学で材料科学と工学の博士号を取得。微粒子汚染制御研究に力を入れており、大気汚染管理の専門家であり、独立した知的財産権を有するクラウドベースの空気浄化技術を開発し、微粒子制御の問題の効果的な解決を可能とした。
–程光泉 (北京師範大学北京文化発展研究院交流部 教授・主任)
1964年生まれ。哲学博士。北京師範大学北京文化開発研究院教授、交流部主任、「京師文化評論」編集長。北京師範大学哲学社会学部の副学部長を務め、主に政治哲学と文化研究に従事。著書に『パンデミック:文化の代価』、『グローバリゼーション論の系譜』、『価値論としての政治哲学』、『グローバリゼーションと価値対立』など10冊以上。
未来ビジョン研究センターでは、現在とその先の「Post-Corona」時代を見据え、より進化した持続可能な未来社会の姿について考えるため、様々な分野の専門家をお呼びして議論する、「コロナと未来」Webinarシリーズを開催しております。2020年11月5日(木)に、その第6回として、蘭州大学資源環境学部教授・副学部長の王博氏と北京師範大学北京文化発展研究院交流部教授・主任の程光泉氏をお招きして開催いたしました。
はじめに、王氏より、「新型コロナウイルスのエアロゾル感染対策」と題し、流行期の室内空気汚染対策の重要性、王氏のチームが開発した空気浄化・ウイルス除去技術、「5-in-1」の室内空気汚染対策技術の3点についてご講演いただきました。新型コロナウイルスのエアロゾル感染の可能性が指摘される中において、その対策として活用が期待される、雲の形成と降雨の過程を模倣した除塵空気清浄機、電動換気呼吸器、そして「5-in-1」空気浄化技術の具体的な仕組みをご解説いただき、これらがすでに中国国内において実証されていることが紹介されました。
次に、程氏より、「過去から学ぶ:次のパンデミックにどう立ち向かうか」と題してお話をいただきました。人類の文明の歴史は疫病の歴史と共にあり、人類が新たな問題に直面するたびに歴史は繰り返されているとの認識の下、歴史的な視点からの考察を、中国の各王朝における疫病に関する記述、さらには西欧の歴史に触れながらご紹介いただきました。そのうえで、文明がいかに発展しても人類とウイルスとの共存は不可避だが、ビッグデータを活用することで、まだ様々な課題はあるものの、感染症の流行を早期に発見できるようになるのではないかとの展望が述べられました。
その後の質疑応答では、王氏から、空気浄化技術の需要が高まっていく一方で実用化が課題であること、程氏から、感染症の流行を食い止めるには感染ルートを断ち切ることが最も有効であること、また、予防のための管理強化と人権の保護の両立のためにはグローバルな法的連携が必要であることなどのお話があり、活発な議論がなされました。
(文・写真:未来ビジョン研究センター 武藤淳)