都道府県による市町村「データヘルス計画」の運営支援に関するオンライン・ワークショップ

  • 日程:
    2021年03月16日(火)
  • 時間:
    13:10-14:30(12:30開場)
  • 会場:
    ZOOMウェビナーによるオンライン開催
    *ご登録完了後、開催日が近づきましたら事務局より招待URL等お送りします。
  • 定員:

    200名(無料)
    *定員になり次第、締切とさせていただきます。

  • 対象:

    都道府県、都道府県国保連合会、市町村

  • 主催:

    東京大学未来ビジョン研究センター データヘルス研究ユニット

  • 協力:

    自治医科大学

定員に達したため申込みを締め切りました。
開催趣旨

長寿国・日本の医療および国民の健康を支える基盤として、国民皆保険制度は重要な役割を果たしてきました。また、新型コロナ禍により、制度の意義が改めて認識された一方で、医療資源に必要以上の負担をかけないための被保険者自身の健康行動や都道府県(保険者)のガバナンスの重要性も示唆されました。そこで、東京大学では令和2年度から、都道府県が保険者として、市町村が進める「データヘルス計画」の運営を支援し、地域の健康課題の解決に資する都道府県向けプログラムを開始しました。

今回開催するワークショップでは、東京大学による最新知見と、「データヘルス計画」の標準化を進める先行的な都道府県の取組を全国の自治体にご報告し、今後の国民皆保険の運営のあり方検討に資することを目的とします。

プログラム
  • 開会
  • 挨拶

    自治医科大学学長・東京大学未来ビジョン研究センター顧問 永井良三

  • 報告

    東京大学未来ビジョン研究センター データヘルス研究ユニット
    「データヘルス計画」の標準化で市町村の取組が大変身

  • パネルディスカッション

    都道府県による先行的な取組
    ―山形県、新潟県、東京都、静岡県、広島県、大分県―

    コーディネーター:東京大学未来ビジョン研究センター データヘルス研究ユニット
    講評:厚生労働省保険局国民健康保険課、国民健康保険中央会

  • お知らせ

    令和3年度都道府県向けリーダーシッププログラム 共同研究のご案内

  • 閉会
  • *やむを得えない事情により、当日の講師が変更になる場合があります。

お問い合わせ

東京大学未来ビジョン研究センター
データヘルス研究ユニット事務局

e-mail:dh-jimu★ifi.u-tokyo.ac.jp(★→@)

2021年3月16日、東京大学未来ビジョン研究センター データヘルス研究ユニットでは、
「都道府県による市町村「データヘルス計画」の運営支援に関するオンライン・ワークショップ」を開催しました。このワークショップには、全国の都道府県、保健所、市町村の国民健康保険担当者や都道府県国民健康保険連合会の職員を中心に約130名が参加しました。
東京大学では、2020年度から「都道府県向けリーダーシップ・プログラム」として都道府県が市町村の予防・健康づくりや事業運営を支援する取組を応援するプログラムを実施しています。
本ワークショップでは、このプログラムによる「データヘルス計画」の標準化と都道府県による市町村支援について報告するとともに、実際にプログラムに参加している都道府県の皆さんと共にパネルディスカッションを行いました。

1 「「データヘルス計画」の標準化で市町村の取組が大変身」
(報告;中尾杏子特任研究員)

少子高齢社会においては、健康寿命の延伸や若い世代からの健康増進は喫緊の課題になっています。保健事業も従来の「アウトプット」(実施量)だけでなく、健康課題を解決する「アウトカム」(成果)が求められるようになりました。
このような背景のもと、「データヘルス計画」の推進に際して都道府県にはデータの利活用、人材育成・確保、基盤整備をはじめとした広域的かつ個別市町村の支援が求められるようになり、保険者団体、外部委託機関、専門家などとの共創体制も重要になっています。
東京大学では、「都道府県向けリーダーシップ・プログラム」を通じて、都道府県による市町村支援の予防・健康づくりの広域的な基盤整備を支援しています。本プログラムでは、市町村国保の「データヘルス計画」を構造化する「標準化ツール」を用いた支援も行っています。この「標準化ツール」によって県内市町村を俯瞰し、市町村による「データヘルス計画」の事業運営の負担軽減や保健事業の質向上のための支援が可能になります。これらの取組は、第3期「データヘルス計画」に向けた基盤整備にもつながります。

2 パネルディスカッション「都道府県による先行的な取組」
―山形県、新潟県、東京都、静岡県、広島県、大分県―

東京大学のプログラムに取り組まれている6つの都県の皆さんともに、「都道府県による先行的な取組」と題して5つのテーマについてパネルディスカッション形式で意見交換を行いました。
(コーディネーター;古井祐司特任教授)

はじめに 6都県の取組の概要
静岡県については、厚生労働科学研究の一環で2018年度からモデル県として協力いただき市町データヘルス計画支援事業を進めています。山形県・新潟県・広島県・大分県の4県は2020年度にスタートした東京大学の「都道府県向けリーダーシップ・プログラム」を実践されています。東京都については、東京大学が地元大学として2020年度から3か年かけて都内全区市町村への支援を行っていきます。
「都道府県向けリーダーシップ・プログラム」では、①「データヘルス計画」の構造化②市町村支援(分析・評価・助言)③教育および人材育成、の3つを主な取組としています。

テーマ1  都道府県の役割
まずは市町村の状況や特徴を捉えることが大事であり、市町村の取組を支援していく過程で得られた好事例は、県内の他市町村への横展開につなげていきたいとのコメントがあがりました。保健所を通じた支援を考えている県も多くありました。市町村への支援にあたっては、関係機関と共創して最終的に市町村が自立できるよう支援することもポイントです。

テーマ2  「データヘルス計画」を同じ様式に整理して実現したこと(標準化①)
「データヘルス計画」を「標準化ツール」に転記して整理した結果、市町村の健康課題の解決に向けた目的・目標や保健事業の実施状況を俯瞰できたとの報告がありました。その結果、「データヘルス計画」の過不足や現場で行われていた保健事業の工夫も「見える化」され、市町村への具体的なアドバイスにつながるようです。

テーマ3  共通の「評価指標」設定のメリット(標準化②)
市町村独自の評価指標に加えて、共通の「評価指標」を設定すると市町村の実績を比較できます。また、よい実績が出ている市町村のノウハウを抽出し、他の市町村と共有することも可能です。KDBで定常的に評価できる指標にすることも運営のポイントとされました。

テーマ4  効果的な保健事業のパターン化(標準化③)
市町村によって異なる人口規模や健康課題があり、それぞれに応じた取組の苦労や工夫があります。現場の担当者にとっては当たり前の工夫を明文化することが効果的な保健事業の方法・体制をパターン化する一歩になります。「データヘルス計画」にこれらの現場の知見を蓄積すると互いの状況を共有しやすくなり、県全体の底上げにつながります。

テーマ5  保健所、国保連合会との共創
保健所は日頃から市町村の悩みにも寄り添う機能を持っており、市町村支援には保健所の活用が有効です。国保連合会はKDBを活用した市町村支援が出来るのが強みであり、支援・評価委員会を通じた助言など、地域を熟知した支援が可能です。保健所・国保連合会と県が目的を共有して一体的に事業を進めるのが効果的との意見がありました。

おわりに 1年間の取組を終えて
6都県からは、「本事業を通じて市町村の底上げができるよう支援していきたい」「個別支援による計画の構造化を通して保健事業の特長や課題を振り返ることができた」「標準化ツールで市町村の状況が把握でき県や保健所が行うべきサポートのポイントが見えた」「市町村が個別に工夫している点や大変な点を把握でき、担当者のモチベーションアップにもつながった」といった感想をいただきました。

都道府県の役割は、市町村の主体性を引き出し、必要な支援をすること、すなわち市町村をencourageすることと考えられます。「データヘルス計画」を活用して保健事業の知見を蓄積することによって、市町村の均てん化と県民の健康寿命の延伸が実現されることを期待します。

3.講評
最後に、厚生労働省と国民健康保険中央会より講評をいただきました。

厚生労働省保険局国民健康保険課 森田課長
パネリストの報告や意見からは多くの気付きが得られた。「データヘルス計画」の標準化を進めていくには、好事例の「見える化」や横展開がポイントとなる。また、特定健診・特定保健指導は共通目標を設定すること、ハイリスクアプローチに加えてポピュレーションアプローチも組み合わせて取り組むこと、国保連におけるKDBデータの分析・検証、国保ヘルスアップ支援事業の積極的な活用を進めていただきたい。
都道府県は保健所との連携で市町村の状況が一層把握できるようになるとよい。東京大学の「標準化ツール」が専門職だけでなく事務職にも活用され広がっていくことを期待したい。

国民健康保険中央会 中野常務理事
6都県の報告によって、どんな苦労があるのか、どのように保健事業を進めているのか実態が伝わってきた。
国保連合会に設置されている保健事業支援・評価委員会では国保保険者の支援・評価を行っており、平成26年度からの累計で全国の82.2%の市町村の支援をしてきた。
東京大学が進めている取組では、都道府県を中心とした広域的な視点で標準化を進め市町村の取組が可視化されている。今後、国保連合会で進めている国保・後期高齢者ヘルスサポート事業と連携し、相互の良さを生かして補完しながら共に市町村の保健事業をしっかりサポートしていきたい。

*本ワークショップの詳細は、Q-stationに掲載しています。
ご興味ある方はぜひご覧ください。