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No.10
産学および社会連携システム研究ユニット
日本の大学における研究支援人材(URA)に関する施策
No.10
産学および社会連携システム研究ユニット
大学が研究支援人材にとって最適な職場環境を備えることによって組織のパフォーマンスが向上することを示した実証研究にもとづき、日本の大学における研究支援人材(URA)のあり方について4点からなる提言をまとめました。
政策提言
1.URAの知識共有環境の充実
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大学は、教職協働による研究支援機能が効果的に発揮できる URA組織を設置し、支持的スーパービジョンを重視する大学経営の在り方を充実させることで、その機能強化を図り、大学の競争力に結び付く知識共有環境を充実させることを、大学の方針として策定するべきである。同時に政府はそのような大学の取り組みを促す施策を実施することが望ましい。
2.URA機能の一層の発展
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大学は、URA機能を、未来産業や地域社会を臨むバックキャストによる研究企画と実装の領域まで引き上げ、大型産学組織間連携や、地域における産業創生の核になるなど、大学の機能の拡張部分に最大限活用することが望まれる。
3.URAコミュニティーを発展させる
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URA コミュニティーは、国内の実務者や、大学研究にかかわるステイクホルダーのハブ機能を高め、その意見を集約するのとともに、今後ますます重要になる研究の国際化を担うため、海外の姉妹団体との連携を深め、国際化やダイバーシティー確保に取り組むべきである。これらを通じ、URA組織の今後の発展の礎となる「日本の URA コミュニティーのカルチャー」を育てることが望まれる。
4.URA組織の評価と育成に関して
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URA組織の評価と育成に関しては、基軸となる研究者のエイジェントとしての在り方を踏まえ、領域をまたがる研究者同士のネットワーク化を図るなど、研究者にとって価値ある基盤的な貢献を評価し育成する視点をもつと同時に、それらの活動を通じて大学経営に資する視点として研究資金獲得額などの目に見えるパフォーマンスや、大学経営にとって重要な人的研究基盤の構築、先述したバックキャストの戦略研究推進などに資することについて、大学ごとの戦略に基づき評価や育成が行われるべきである。その際、URAの育成については、URAの質保証制度を通じてURA全体としてバランスが取れたスキルの土台が育成されることが期待できることから、URAを配置する大学は質保証制度を十分に活用することが望まれる。
この政策提言は、東京大学未来ビジョン研究センター産学および社会連携システム研究ユニットの研究成果の一つです。全文は以下よりダウンロードいただけます。