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No.13
文化を基軸とした融合型新産業創出研究ユニット
文化経済政策の在り方に関する政策提言ー令和時代のシン・クールジャパンの構築に向けてー
No.13
文化を基軸とした融合型新産業創出研究ユニット
政策提言までの背景
東京大学未来ビジョン研究センター文化を基軸とした融合型新産業創出研究ユニット(以下、文化ユニット)は、文化政策分野の国際会議ICCPR2020(International Conference on Cultural Policy Research、国際文化政策学会、2021年3月23日-26日にオンラインで開催)において、同会議との共催として、坂田一郎教授をモデレーターとする特別セッションを実施した。また、その内容を基にした文化政策に関する提言を東京大学未来ビジョン研究センターからワーキングペーパーが刊行したところである。
文化ユニットにおいて、上記の国際会議やワーキングペーパーの内容をより詳細に検討・整理するため、テーマの焦点を絞り、「文化経済政策の在り方に関する研究会」と名付けた研究会を立ち上げ、オンライン形式で3回開催した。
本提言は主として、この「文化経済政策の在り方に向けた研究会」で得られた知見に基づき、今後の日本の文化経済政策の在り方に関する政策的知見をとりまとめたものである。
政策提言
無形の財である文化資産が他の資源とも融合するなどで新たな価値が生まれ、そこで生まれたリソースの一部が文化への再投資に向かう好循環を構築することが必要であるとともに、日本のデジタル化やDXが海外と比べ遅れている中で、デジタル時代に合わせた政策への変革が求められている。そのためには、今後の文化経済政策の方向性として、融合分野連携、デジタルコンテンツ関係、デジタル時代の政策提言・政策手法・連携体制、そして、従来型政策支援の強化・改革を意識して政策立案を進めていくべきという問題意識の下、以下のとおり政策提言をまとめた。
融合分野連携関係
- 文化―まちづくり―観光の好循環を生み出すための文化観光省の創設
文化への再投資のための好循環を生み出すために一体的かつ強力に政策を実施することが重要であるため、庁から省に格上げした上で、文化観光省を創設するべきである。その他にも、通信・放送、コンピュータ、IT戦略、知財コンテンツを広範囲に実施する文化省の創設というのも一案である。
デジタルコンテンツ関係
- コンテンツ、アート×デジタルテクノロジー等に関する企業に対する非資金的支援の強化
日本全体の機運作りのため、産業界や関係府省庁、大学等が一体となって「アート×デジタルテクノロジー等TOKYO宣言(仮称)」を実施するべきである。
- コンテンツ、アート×デジタルテクノロジー等に関する人材を活かすための人事管理の普及促進
クリエイティブな発想を生み出すための組織を促進するためのガイドラインの作成や、このような人事組織モデルで成功している企業の優良事例集の作成などが期待される。
デジタル時代の政策提言・政策手法・連携体制
- 文化経済政策に必要な情報収集・分析・提言可能なシンクタンクの創設
関係府省庁に代替する民間企業、アカデミア、法曹界、メディア、クリエイティブ等のメンバーで構成される組織により、文化経済政策のデータ収集・分析・提言を可能とするシンクタンクの創設が必要である。
- デジタル時代に必要な戦略的な広報
「クールジャパン・アンバサダー」という制度が既に存在しているが、クールジャパンに関連する政策にも精通している人材の登用等が必要である。
- 民間企業と行政との長期的かつ緊密な関係構築
長期的な緊密な関係を築かせるためには、行政の担当者の着任期間を長くすることや民間企業なども含めた密なコミュニケーションができる場が更に必要である。
従来型政策支援の強化・改革
- 日本語への政策投資
日本と海外の繋がりのきっかけを作るため、文化経済、クールジャパン分野のビジネスに対する日本語への政策投資が必要である。
- 小学校教育課程の図画工作と音楽の授業の倍増
アートに通じたクリエイティブな人材を創出する観点から、デジタルコンテンツの制作に関する教育も含め小学校教育課程の図画工作と音楽の授業の倍増が必要である。
本レポートは、東京大学未来ビジョン研究センター文化を基軸とした融合型新産業創出研究ユニットの研究成果です。全文は以下よりダウンロードいただけます。