• 論文

    吉江悟 未来ビジョン研究センター客員研究員
    飯島勝矢 未来ビジョン研究センター教授

飯島勝矢教授らの論文がBMC Primary Careに掲載されました

我が国の超高齢化を踏まえた医療介護システムを考えると、在宅医療の必要性・需要が増加しています。地域包括ケアシステムの概念の下、日常的な地域医療に対応するプライマリ・ケア医(かかりつけ医)が通常の外来業務だけではなく、在宅医療も担うことが期待されています。しかし、患者の急変などに備えて待機する24時間のオンコール体制は、プライマリ・ケア医にとって負担となっています。在宅医療を受ける患者様の中でも、短期間に繰り返し往診が必要となる頻回往診のハイリスク患者をあらかじめ把握できていれば、医療者側・患者側双方にとって、適切な準備や医療資源配分の一助となる可能性があります。しかし、頻回往診の発生を予測するリスクスコアは、これまで存在しませんでした。

本研究では、茨城県つくば市及び千葉県柏市の医療レセプトと要介護認定調査を連結した匿名化データセットを用い、訪問診療を新たに開始した65歳以上の高齢者における頻回往診(平均月1回以上の往診と定義)を予測するリスクスコアを開発しました。分析の結果、在宅酸素療法(3点)、要介護度4-5(1点)、悪性腫瘍(4点)の三つの変数で構成される簡便なリスクスコアが、頻回往診の良い予測能を示しました。

本研究成果が臨床現場で活用されることにより、頻回往診のハイリスク患者に対する適切なケアや、プライマリ・ケア医の負担軽減に役立つことが期待されます。

タイトル:


Development and validation of a risk score to predict the frequent emergency house calls among older people who receive regular home visits

共同研究者:


Yu Sun, Masao Iwagami, Nobuo Sakata, Tomoko Ito, Ryota Inokuchi, Kazuaki Uda, Shota Hamada, Miho Ishimaru, Jun Komiyama, Naoaki Kuroda, Satoru Yoshie, Tatsuro Ishizaki, Katsuya Iijima & Nanako Tamiya

ジャーナル:


BMC Primary Care
Vol 23, No 132 (2022)
https://bmcprimcare.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12875-022-01742-7

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東京大学未来ビジョン研究センター
教授 飯島 勝矢