城山センター長がクイーンズランド工科大学学長と対談を行いました

2022年6月3日、未来ビジョン研究センター(IFI)の城山英明センター長らとクイーンズランド工科大学(QUT)のMargaret Sheil学長が、本学にて対面での対談を行いました。

QUTは、オーストラリア・クイーンズランド州ブリスベンにある公立大学で、東京大学とは先端科学技術研究センターと水素分野で共同研究を進めています。また、東京大学を代表機関とする共同研究プロジェクト共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)「ビヨンド・“ゼロ・カーボン”を目指す“Co-JUNKAN”プラットフォーム研究拠点」(Co-JUNKAN)は、今年度より本格型に移行し、IFIはクイーンズランド州政府とバイオ分野での共同研究を開始しました。こうしたことを背景に、QUTは東京大学とのさらなる連携強化を模索しており、今回の対談に至りました。城山センター長、Sheil学長によるそれぞれの組織の研究活動紹介に続き、Co-JUNKANの概要についてプロジェクトリーダーの菊池康紀IFI准教授が、クイーンズランド州での研究計画について小原聡IFI特任准教授が説明しました。

Co-JUNKANにおいて、IFIとクイーンズランド州政府は、地域の資源を活用した農工融合型のグリーン・トランスフォーメーション(GX)を目指しています。具体的には、これまで種子島をフィールドとし、小原特任准教授が中心となり実証実験を行ってきた、サトウキビ由来のバイオ燃料やバイオケミカルの製造と、製造プロセスにおけるエネルギーや経済の循環システムモデルを、世界有数のサトウキビ生産地でもあるクイーンズランド州に展開させようとするものです。本研究では、通常は廃棄されるサトウキビ搾りかす(バガス)からバイオ燃料やバイオケミカル(エタノールやバイオ由来プラスチックなど)など高付加価値製品を作り出し、製造過程で発生する熱などのエネルギーも有効活用します。これにより、砂糖などの高付加価値製品を製造し地域経済に貢献しながら、エネルギー消費や工業廃棄物の発生を抑制するという、サステナブルな循環型地域づくりに産官学及び地域住民が連携して取り組みます。

サトウキビをめぐっては、近年、世界的な砂糖価格の下落の影響により、生産性の向上や代替高付加価値製品の開発が生産地での課題となっています。そのため、地域資源を活用したエネルギー、環境、経済のコウ(好・co-(共に))循環モデルを地域課題のソリューションとして地域と共に創出する(Co-creation) Co-JUNKANにQUTは強い関心を示しました。そして、食料やエネルギーの問題など多くの分野で、日本とオーストラリアが抱える地域課題の共通点を特定できるのではないかという認識を共有しました。さらに、今後の連携の方向性としては、そうした共通の地域課題の解決に向けた共同研究が可能性の一つとして考えられるとして、様々な視点から意見交換を行いました。

共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)「ビヨンド・“ゼロ・カーボン”を目指す“Co-JUNKAN”プラットフォーム研究拠点」について:

東京大学の未来ビジョン研究センターを代表機関とするCOI-NEXTで、大学、地方自治体、公共団体、企業など、国内外の29機関が参画し、

  1. ビヨンド・“ゼロカーボン社会”を描くCo-learningの展開
  2. 誰でも使えるCo-JUNKAN基盤の実装
  3. ビヨンド・“ゼロカーボン”を実現する技術の社会実装

をターゲットとして、課題解決に取り組んでいます。

地域システム設計研究ユニット