• 論文

    吉岡(小林) 徹 一橋大学イノベーション研究センター 講師 / 東京大学未来ビジョン研究センター 客員研究員
    柴山 創太郎 未来ビジョン研究センター教授

柴山創太郎教授らの論文がHigher Educationに掲載されました

知識社会において科学者の役割が国際的にますます重要になっていく中、その科学者を養成する博士課程教育の重要性も増しています。博士課程教育の効果には進学者の研究活動への適性が大きな影響を与えることから、学生の研究適性と進路選択との関係は科学技術政策のみならず大学関係者の関心事項になっています。

本研究では、学生の属性(とくに研究活動への適性)と学生の所属する研究室環境が博士課程進学にどのような影響を与えているのかを、日本の研究大学の生命科学系・情報科学系の専攻に所属する教員・修士課程学生への質問票調査により分析しました。その結果、修士課程修了後の直接進学に関しては、研究適性が高いと指導教員から評価されている学生ほど博士課程に進学する傾向があること、また、研究環境や研究者育成環境に優れた研究室に所属する学生ほど進学する確率が高いことがわかりました。さらに、研究適性の高い学生の進学には、研究室の育成環境(研究指導に多くの時間が割かれる等)が影響する一方、そうでない学生の進学には研究環境(研究活動上の実績等)が影響することが示唆されました。

これらの結果は、直接の進学者を増やすことを目指すのであれば、研究室の主催者が研究者の育成や研究活動にあたるリソースを確保することが重要であることを示唆しています。

タイトル:


Determinants of Ph.D. progression: student’s abilities and lab local environment

共同研究者:


Tohru Yoshioka-Kobayashi & Sotaro Shibayama

ジャーナル:


Higher Education
Published: September 29, 2022
https://doi.org/10.1007/s10734-022-00925-6

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東京大学未来ビジョン研究センター
教授 柴山 創太郎
https://sotaroshibayama.weebly.com