• ビヨンド・”ゼロカーボン”を目指す”Co-JUNKAN”プラットフォーム研究ユニット

東京大学未来ビジョン研究センターおよび芝浦工業大学地域共創基盤研究センターによる佐渡研究室の開所式が、新潟県佐渡市で行われました

テープカットの様子(左から尾畑酒造 平島社長、佐渡市 渡辺市長、芝浦工業大学 栗島教授、東京大学 福士教授)
テープカットの様子(左から尾畑酒造 平島社長、佐渡市 渡辺市長、芝浦工業大学 栗島教授、東京大学 福士教授)

新潟県佐渡市・尾畑酒造と長年にわたり再生可能エネルギーを利活用した酒造りに関する共同研究を行ってきた東京大学の未来ビジョン研究センターと、佐渡市と持続的な地域づくりの創造に向けて包括連携協定を昨年締結した芝浦工業大学の地域共創基盤研究センターが、佐渡市にサテライトの研究室を開設。その開会式が6月4日(日)に行われました。両センターとも学外に研究室を設けるのは初めての試みとなります。

式では両大学の関係者および佐渡市 渡辺竜五市長、尾畑酒造株式会社 平島健社長、尾畑留美子専務らが出席し、東京大学未来ビジョン研究センター長 福士謙介教授や、芝浦工業大学地域共創基盤研究センター長 栗島英明教授から研究内容の説明がありました。

佐渡研究室設立の背景・目的

佐渡市と東京大学は2013年より地域のエネルギー自立化に関する取組を始め、自然資本を最大限に活用した自立可能で持続可能な地域社会の実現に取り組むため、佐渡市と東京大学国際高等研究所サステイナビリティ学連携研究機構(現 東京大学未来ビジョン研究センター)との間に自然共生社会の実現に向けた連携・協力に関する覚書を結びました。その後、各種府省の研究プロジェクトや産学官連携の取組を続けています。
尾畑酒造とは学校蔵における再生可能エネルギーを取り入れた酒蔵の可能性についての研究を行っており、より多くの独立電源を使用する地域循環型のゼロカーボン・ブリュワリーを目指すために協力を続けています。

また、佐渡市と芝浦工業大学は、2005年より工学部建築工学科(現 建築学部建築学科)の蟹澤宏剛研究室が佐渡島において木材を使った伝統的な建築や工法を学び実践する「佐渡木匠塾」を実施。2022年には社会的課題の解決と持続的な地域づくりの創造に向けて、地域社会の発展及び世界貢献に資する人材育成と地域産業の振興に寄与することを目的として、脱炭素地域及び地域経済循環の形成などに協力・連携して取り組む包括連携協定を締結しています。尾畑酒造とも「佐渡木匠塾」における協業を始め、学生たちが学校蔵および尾畑酒造本社を舞台に学びながら木を使って制作した作品を多くの方に披露できるようにしています。

このような背景のもと、佐渡市は東京大学未来ビジョン研究センターが幹事として採択された国立研究開発法人科学技術振興機構(以下JST)「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」の育成型(共創分野)プロジェクトへ芝浦工業大学とともに2021年より参画。2022年4月より本格型(共創分野)に採択され、「ビヨンド・”ゼロカーボン”を目指す”Co-JUNKAN”プラットフォーム研究拠点」として活動を開始しています。
この拠点では、地域の持続的な発展のために、ネットゼロカーボンへの取り組みを、地域の環境・生態系、食料生産、雇用、伝統・文化の発展など地域の豊かさに繋げられるような社会実装を可能とする方法論を開発しています。
佐渡市においても、地域資源の活用により地域を活性化させるための地域ビジョンの検討や、市内の中高生らと取り組む未来ワークショップなどを展開しています。これらのアクション・リサーチ(課題解決型実証研究)を通じて、協創・共学習(Co-creation/Co-learning)の場としてコミュニティを再構築し、複合的な社会課題(エネルギー、資源循環、生態系保全、健康長寿、医療福祉、安心・安全・Well-being、地域文化等)に横断的・自律的に対処可能な社会システムの仕組みを実現していきます。
 
今回の研究所開室は、これらの活動の一環として行われました。今後は地域の方々と大学との共創の場としての活用が期待されます。また、モノづくりを通じた共創ワークショップなども予定しています。

「学校蔵」とは

学校蔵の外観
学校蔵の外観

佐渡市西三川地区にある廃校を2014年より尾畑酒造の二つ目の酒蔵として再生させたブリュアリー。夏場に冬の環境を作って酒造りをしています。

原材料はオール佐渡産。佐渡の生物多様性を促進するためにエコフレンドリーな酒米や棚田の維持保全に協力すべく岩首産コシヒカリなどの米を使用していると共に、酒造りのエネルギーも佐渡産へとの考えから太陽光パネルを設置して再生可能エネルギーを導入しています。エネルギーと資源の循環と共に、ヒトも循環させるべく、交流事業として「学校蔵の特別授業」というワークショップの開催や、国内外の人が長期滞在しながら酒造りを学ぶ「酒造り体験プログラム」を実施しています。昨年は蔵内に宿泊施設とカフェをオープン。カフェでは発酵食品や地域食材を使ったメニューを提供し、食品ロスの削減にも努力をしています。

[リンク]

東京大学未来ビジョン研究センター 共創の場形成推進プログラム(COI-NEXT)
「ビヨンド・”ゼロカーボン”を目指す”Co-JUNKAN”プラットフォーム研究拠点」

https://coinext.ifi.u-tokyo.ac.jp/index.html

尾畑酒造 学校蔵
https://www.obata-shuzo.com/home/gakkogura/