• 政策提言

    No.26

    グローバル・コモンズ・センター

国際的波及効果によるグローバル・コモンズへの環境負荷軽減に向けた政策提言

政策提言の背景

今日の経済と市場は、ビジネスモデルが自然界に及ぼす社会的コストを十分に算定できていません。ゆえにグローバル・コモンズ(人類の繁栄と安全保障が依存する、安定的で回復力のある地球システム)を弱体化させています。各国の政策は国内優先になりがちで、グローバル・コモンズの劣化につながる他国への重大な環境への悪影響を無視しています。

しかし、環境への圧力は国境を越えています。CGCが国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)と共同で発表した「グローバル・コモンズ・スチュワードシップ(GCS)指標」は、森林破壊の47%、温室効果ガス(GHG)排出の33%、水ストレスの24%が、国際的な波及効果(そのほとんどが貿易を通じたもの)によって引き起こされていることを明らかにしています。こうした波及効果によってもたらされる課題に取り組むには、自然資本に対する価値観を大きく転換する必要があります。また、このような取り組みは、国際的な波及効果を抑制し、経済システムの転換を推進するための政策や、ビジネス上の対応を伴ったものでなければなりません。緊急に必要なことではあるものの、時間がかかることが見込まれます。

このディスカッション・ペーパーは、(1)目標設定とモニタリング、(2)公共管理、(3)規制、(4)財政政策と資金調達、という4種類の国家政策レバーが、国際的波及効果にどのように作用し、問題解決に取り組むことができるかということを理解するための枠組みを提供しています。需要サイドと供給サイドの政策手段と、それらがグローバル・コモンズに与える影響について考察し、各国の政策立案者が今すぐ行動を開始するための実践的な教訓を明らかにしています。

本政策提言は、CGCが2020年から実施してきた、海外パートナーとの協働イニシアチブである「グローバル・コモンズ・スチュワードシップ・イニシアチブ(Global Commons Stewardship Initiative)」の活動の一環として作成されました。

この政策提言は、東京大学未来ビジョン研究センター グローバル・コモンズ・センターの研究成果の一つです。全文は以下よりダウンロードいただけます。