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Jie Su 未来ビジョン研究センター特任助教
Alexandros Gasparatos 未来ビジョン研究センター教授
混合食は栄養とカーボンフットプリントのバランスを良くする–広範な食品群ではなく個別の料理を対象とした食の健康・環境影響についての新しい分析–
Jie Su 未来ビジョン研究センター特任助教 Alexandros Gasparatos 未来ビジョン研究センター教授
発表のポイント
- 本研究では、料理レベルでの持続可能な食生活を探求するために、新たに混合整数計画モデルを構築しました。
- 混合整数計画モデルを用いて、料理ごとの栄養価、価格、およびカーボンフットプリントを定量化し、混合食が栄養ニーズを満たしつつ環境への影響を低減するより持続可能な料理であることを明らかにしました。
- この研究結果は、食品システムの変革を推進し、より持続可能な食生活の形成を促すことへの貢献が期待されます。
料理ごとの栄養、価格、およびカーボンフットプリントの間のトレードオフ
概要
東京大学未来ビジョン研究センターのアレクサンドロス・ガスパラトス教授、大学院工学系研究科のロン・イン准教授、吉田好邦教授らの研究チームは、食生活の環境および健康への影響を探求し、混合食(注1)が栄養ニーズを満たしつつもカーボンフットプリント(注2)を低減させることを明らかにしました。本研究では、料理ごとの価格と栄養価を考慮するとともに、産業連関分析(注3)を通じてカーボンフットプリントを評価しました。その結果、牛肉を中心とした料理が最もカーボンフットプリントが高く、豚肉や野菜ベースの料理は低いことや、カーボンフットプリント全体に対して調理による直接的なCO2排出の影響は小さく、CO2の主な排出源は原材料の生産過程にあることが明らかになりました。また、カーボンフットプリントの高い料理は高価であり、低いものは比較的安価であることも分かりました。
本研究成果は、持続可能な食政策の立案に寄与し、健康を確保しながらカーボンフットプリントを削減する指針を提供するものです。この方法論は世界各国での研究に適用可能で、食の選択が環境と健康に与える影響についてのより深い理解への貢献が期待されます。
今回の研究成果から、持続可能な食生活選択に関する新たな知見が確認されました。今後、持続可能な食品システムへの移行という社会への波及効果と、持続可能性研究の発展に寄与することが期待されます。
(注1) 混合食:食材を肉、魚介、野菜などに分類するとき、単一の食材から成る料理ではなく、さまざまな食材を含む料理を指す。
(注2) カーボンフットプリント:商品・サービスのライフサイクルの各過程で排出された「温室効果ガスの量」を追跡した結果、得られた全体の量をCO2量に換算して表示することを言う。
(注3)産業連関分析:一国のある年における財・サービスについて各産業部門間で何がどれだけ生産され、販売されたかを、行列形式で一覧表にした産業連関表を用いて、最終消費者の購買がどの産業にどれだけの生産活動を誘発するかを分析する手法。
[発表者・研究者情報]
東京大学未来ビジョン研究センター
アレクサンドロス ガスパラトス (Alexandros Gasparatos) 教授
ジェ スー (Jie Su) 特任助教
東京大学大学院工学系研究科
ロン イン 准教授
吉田 好邦 教授
コウ リチャオ 博士課程
メリーランド大学
フォン クイシュアン (Feng Kuishuang) 教授
[論文情報]
雑誌名: Science Advances
題名: Mixed diets can meet nutrient requirements with lower carbon footprints
著者名: Yin Long, Liqiao Huang, Jie Su, Yoshida Yoshikuni, Kuishuang Feng, Alexandros Gasparatos
DOI: 10.1126/sciadv.adh1077