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No.36
グローバル・コモンズ・センター
政策提言 Making Natural Capital Count: An Investment Agenda
No.36
グローバル・コモンズ・センター
政策提言の背景
2025年9月、東大グローバル・コモンズセンターとSystemiqは、Making Natural Capital Count: An Investment Agenda1を発表しました。本報告書は、ブラジルCOP30で発表された気候金融に関する独立ハイレベル専門家グループ(IHLEG)の第4報告書2を補完するものであり、経済と金融の意思決定に自然資本を組み込み、自然資本への投資を拡大するためのロードマップを提示しています。
自然資本はレジリエントで豊かな経済を築くための基盤であり、重要なインフラとして生産資本や人的資本とともに包括的な富を構成しています。自然を評価するための手法は存在するが、それらは経済・金融システムでの意思決定にはほとんど活用されておらず、現在の経済・金融システムは自然資本の価値を十分に反映していません。自然の保全は長期的な成長と安定のために不可欠な投資であるにもかかわらず、コストと見なされています。その結果、自然への投資は恒常的に不足し、自然資本の減少、さらには自然災害や気候変動へのリスクを増大させるという悪循環を生み出し、生産性とレジリエンスの低下につながっています。本報告書はこのネガティブな仕組みを転換し、自然資本の価値を経済システムに組み込む――その結果「自然がバランスシートに載るようになる」――という新たな経済・金融システム構築の必要性を示しています。システム転換を促進する要因として、政策、会計システム、金融商品などが相乗効果をもたらし、既存制度の構造的な改革を加速させるという分析をもとに、世界の意思決定者のために以下の政策提言を行っています。
- 既存の自然資本データベース、シャドウプライシング、自然資本の評価手法をもとに、世界共通のデータと指標のインフラを構築する。それらは国、省庁、市場、セクターを超えてアクセスでき、比較が可能でなければならない。
- 自然資本会計が自然資本の評価にとどまらず、実際に経済的・金融システムでの意思決定につながるものにする。
- 自然を保全することが経済社会にとって有益であるという成功例を広め、様々な実証をもとに自然資本の保全に効果的なメカニズムを構築する。
- 自然資本には国境がなく、国際社会の連携した取り組むが必要である。政策、国際ルール、企業、金融市場のすべての意思決定に自然資本の価値をを組み込む。
1 Ishii N, Schmidt-Traub G, Haagh V, Bergote B, Ibsen O, Nohl R (2025). Making Natural Capital Count: An Investment Agenda
https://www.systemiq.earth/wp-content/uploads/2025/12/2025_IHLEG_Making-Natural-Capital-Count_FULL-REPORT.pdf
2 Bhattacharya A, Songwe V, Soubeyran E and Stern N (2025). Delivering an integrated climate finance agenda in support of the Baku to Belém Roadmap to 1.3T. London: Grantham Research Institute on Climate Change and the Environment, London School of Economics and Political Science.
https://www.lse.ac.uk/granthaminstitute/wp-content/uploads/2025/11/IHLEG-on-Climate-Finance-4th-Report-Delivering-an-integrated-climate-finance-agenda.pdf
この政策提言は、東京大学未来ビジョン研究センター グローバル・コモンズ・センターの研究成果の一つです。全文は以下よりダウンロードいただけます。