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    佐々木一 未来ビジョン研究センター准教授

佐々木一准教授の研究論文4報がTechnovation誌などの査読付き論文に掲載されました

佐々木一准教授の研究論文4報が、Technovation誌などの査読付き論文にそれぞれ掲載されました。

[1][3][4]は知的財産権とイノベーション研究ユニットに関連する研究です。
また、[3]はナノテクノロジーとイノベーション研究ユニットに関連する研究です。

[1]タイトル:


Identifying potential technological spin-offs using hierarchical information in international patent classification

ジャーナル:


Technovation, 102192 (2020).
https://doi.org/10.1016/j.technovation.2020.102192

説明:


特定の分野で開発された技術が民間に転用され、本来と異なる分野で産業発展していく現象は「技術的スピンオフ」と呼ばれ分野の融合形態の一つとされます。本研究は特許ビッグデータをもとに、技術が持つ階層構造に着目し「技術的スピンオフ」を予測する手法を提案するものです。ケーススタディとして、炭素繊維強化プラスチック分野および傾斜機能材料分野について検証をしました。本研究はイノベーション戦略はもとより、自社技術の異業種展開の探索や休眠特許の有効活用にも結びつくことを期待するものです。

[2]タイトル:


Business partner selection considering supply-chain centralities and causalities

ジャーナル:


Supply Chain Forum: An International Journal. (pp. 1-12). Taylor & Francis (2020).
https://doi.org/10.1080/16258312.2020.1824531

説明:


本研究は東北6県に所在する約13万企業32万取引に関するサプライチェーンデータを対象にし、企業の取引先予測手法について議論するものです。地域の産業経済に関する分析は財務情報のようなミクロな情報のみならず企業間の繋がり(ネットワーク)的観点から関係性に着目した分析・研究がされつつありますが、指標の解釈には一定の議論があります。本研究ではこれまでの社会ネットワーク分析指標が孕んでいた解釈性の不足を補うため、ベイジアンネットワークによる取引の因果関係確率を統合することで、予測精度とモデル解釈の両立について議論しました。

[3]タイトル:


Emerging Scientific Field Detection Using Citation Networks and Topic Models—A Case Study of the Nanocarbon Field

ジャーナル:


Applied System Innovation, 3(3), 40.
https://doi.org/10.3390/asi3030040

説明:


ナノテクノロジーのような科学と産業技術の距離(サイエンスリンケージ)が近い分野においては、今後の産業動向を予測するにあたって研究論文の情報が大きく寄与します。本研究はナノカーボン分野に対して論文の引用関係ネットワークとトピックモデルを用い、将来注目される可能性の高い研究を論文単位と研究トピック単位の双方の観点から予測された動向について議論するものです。

[4]タイトル:


Extracting Problem Linkages to Improve Knowledge Exchange between Science and Technology Domains using an Attention-based Language Model

ジャーナル:


Engineering, Technology & Applied Science Research 10(4) (2020), 5903-5913.
https://doi.org/10.48084/etasr.3598

説明:


学術ドメインと産業ドメインがどのような問題意識をもっているかを相互に理解することは、それぞれが情報サイロに閉じて課題解決に取り組むことを避けることに繋がります。本研究はAttentionメカニズム(自己注意機構)を用いた言語モデルにより、論文や特許の文章群から、対象が問題意識を表すセンテンスであるかどうかを判別するモデルを構築しました。抽出された問題意識センテンスの言語的類似性をもとに、学術と産業で同じような課題意識を持って取り組んでいる知見を抽出し、学術ドメインと産業ドメインが相互に知識交換することの意義について議論しました。

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東京大学未来ビジョン研究センター
准教授 佐々木一
https://ifi.u-tokyo.ac.jp/people/sasaki-hajime/