グローバル・コモンズの保全に向けた東京大学と三菱ケミカルの共同研究について

国立大学法人東京大学(総長:五神 真、以下「東京大学」)と三菱ケミカル株式会社(社長:和賀 昌之、以下「三菱ケミカル」)は、グローバル・コモンズ(人類の持続的発展の共通基盤である地球環境システム)を守るための化学産業の役割に関する共同研究を2021年4月1日より開始することで合意いたしました。

我々は大きな地球環境危機に直面しています。この危機を乗り越え、我々が持続可能な未来を創っていくためには、経済社会の在り方や生活様式を大きく変えていく必要があります。こうした大きな変革に、素材産業である化学産業の果たすべき役割は極めて大きいと考えます。さらに、民間企業のみならず、中立的な立場にある大学がその知を結集して、ともに取り組んでいくことが重要であると考えます。今回の共同研究において、東京大学が2020年8月1日付で開設したグローバル・コモンズ・ センター(ダイレクター:石井 菜穂子)と三菱ケミカルは、持続可能な経済社会を築くための化学産業の役割について2年間の予定で研究いたします。

具体的には、プラネタリー・バウンダリーズ(Planetary Boundaries)の範囲内で活動するサステナブルな社会・経済の実現を目指して、化学産業自らの環境負荷低減に加えて、他の産業や消費者のために化学産業が果たすべき役割、解決すべき課題を検討し、ビジョンを描きます。特に生産・消費(サーキュラーエコノミー)、エネルギー、食料、都市などの主要経済システムの転換に対して化学産業が貢献できることを研究いたします。今回の研究の特長は、専門性を持つ外部の知も結集して取り組むことにより、欧州をはじめとする海外での最新の取り組みも参考にしながら、主要化学品の原料からリサイクル・廃棄までの定量的なモデルを構築・活用して、日本の化学産業の取るべき道筋を明らかにするところにあります。化学からのグローバル・コモンズ保全への貢献、そして社会・経済システム転換の道筋に関する今回の研究成果を東京大学や三菱ケミカル内にとどめることなく、変革を起こすために残された時間があと10年しかないと警告されている中で、サステナブルな社会・経済の実現加速のために社会へ広く共有、発信し、社会変革を駆動してまいります。

写真(左から):藤井輝夫東京大学次期総長、石井菜穂子ダイレクター、和賀昌之社長、五神真総長

*プラネタリー・バウンダリーズ(Planetary Boundaries): 地球環境システムを安定化させている9つのプロセス(気候変動、生物多様性、窒素・リン循環など)について、人類が持続的に発展していくために超えてはならない限界値を定義した。これを超えると大規模で不可逆的な環境変化をもたらすリスクが大きくなる。気候変動が危険領域にあるほか、生物多様性と窒素・リン循環は限界値を超えたとされている。

Rockström et al.(2009). Planetary Boundaries: Exploring the Safe Operating Space for Humanity.
Ecology and Society, 14(2). https://doi.org/10.5751/ES-03180-140232
Steffen et al.(2015). Planetary boundaries: Guiding human development on a changing planet.
Science, 347(6223), 1259855–1259855. https://doi.org/10.1126/science.1259855

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