IFI エネルギーセミナー開催のお知らせ
TITLE : Accelerating the production and diffusion of fuel-cell vehicles: Comparing strategies in Japan and California
「燃料電池自動車の生産・普及の拡大加速に向けて:日本、カリフォルニア州における戦略の比較分析」
SPEAKER : Gregory TRENCHER
トレンチャー・グレゴリー
東北大学大学院 環境科学研究科 先進社会環境学専攻
(国際エネルギー資源学分野)准教授
DATE : September 29 Tue 13:00-14:30 ZOOM Online
Abstract :
自動車の電動化を加速させる上で、水素で走る燃料電池自動車は重要な役割を講じうる。電気自動車に比較して航続距離が長く、充填時間が短い上に、一箇所の水素ステーションにおいて比較的少ない面積でより多くの自動車数を支えることができる。しかし、世界的に見れば自動車の普及率および技術の成熟度という面では、電気自動車の市場の方が遥かに迅速に拡大しているというのが、現状である。にもかかわらず、複数の国においては、電気自動車および燃料電池自動車の普及が同時に積極的に支援されている。日本およびカリフォルニア州はその好例であり、両国は燃料電池自動車および水素ステーションの普及拡大に向けて、公共政策、制度設計、官民投資、法制度、あらゆる面で取り組んでいる。一方、先行研究では、燃料電池自動車の普及を阻んでいる諸要因に重点が置かれているため、実際に如何にこれらの課題を打開することが可能なのかに関する知見は不足している。このことから、燃料電池自動車の市場展開の最先端に立っている日米が講じている戦略を比較分析することは、今後、世界的に燃料電池自動車およびあらゆる産業、生活の場において水素を活用する「水素社会」の実現を加速させるに当たり、多くの示唆と教訓を持ちうる。
そこで本講演では、日本およびカリフォルニア州における燃料電池自動車の生産能力向上および普及拡大を目指したガバナンス手法(公共政策、法制度、制度設計、ビジネスモデル等)に着目し、いずれのアプローチ、効果、課題、求められている打開策を明らかにしていく。その際に、次の4つの側面から両国が講じている戦略を比較分析する。つまり、①生産側(自動車生産に伴う課題)、②インフラ(水素ステーションの整備、その燃料を製造・供給する水素サプライチェーン)③需要側(自動車購入の喚起、市場細分化)④制度設計(横断的課題に対応する取り組み)である。その結果、日米に置いて自動車、水素ステーションの普及が大幅に遅れているという現状が明らかになり、本講演では、それらの理由と求められている対策を解説していく。