IFI エネルギーセミナー開催のお知らせ
タイトル:イノベーション政策による産業の脱炭素化:中国とインドの風力・太陽光発電産業における技術能力と製造(Harnessing innovation policy for industrial decarbonization: Capabilities and manufacturing in the wind and solar power sectors of China and India)
講演者: 林 大祐(立命館大学国際関係学部、准教授)
日時: 2020年11月27日(金)13:00〜14:30
場所: オンラインセミナー(Zoom)
言語: 日本語(Japanese)
アブストラクト
本講演では、中国とインドの風力・太陽光発電産業を対象として、技術特性と政策支援がイノベーション能力の構築に与える影響を明らかにする。2000〜2017年において、中国の風力・太陽光発電に関する特許申請数は2000年代中頃から急速に増加したが、インドの特許申請数は停滞した。両国のイノベーション能力の差は、これら4つの事例(2ヵ国×2産業)における技術特性と政策支援の違いによって説明できる。同期間において、風力発電は、高度な設計能力を要し、価格競争力のある技術として、太陽光発電は、高度な製造能力を要し、より高価格の技術として特徴付けられる。風力発電産業におけるイノベーション能力の構築のためには、研究開発と技術移転を促すための技術プッシュ政策、及び、国内市場での需要を創出するための需要プル政策が必要である。太陽光発電産業では、輸出指向型の製造を支援するための技術プッシュ政策、及び、投資利益を保証するための需要プル政策が必要となる。中国はこれらの技術特有の要請に沿った政策支援を実施したが、インドでは技術プッシュ政策の不足などの理由で、イノベーション能力の停滞につながった。以上から、クリーン・エネルギー産業におけるイノベーション能力の構築のためには、技術特性を考慮した上で、技術プッシュ政策(特にイノベーション政策)と需要プル政策を調和させた政策支援が必要であると言える。