安全保障研究ユニット 近世日本における主権領域秩序:非西洋国際関係論の観点から

概要

国際関係論の既存研究においては、今日の国際秩序の基本的構成単位である主権国家はヨーロッパにおいて最初に成立し、それが植民地支配などを通じて他地域に広がったもので、それ以前の非ヨーロッパには主権国家の構成要素は存在しなかったと考えられてきました。しかしながらこれはヨーロッパ中心主義的な未検証の前提にすぎず、実際に何がヨーロッパに特有で、何が他地域にも存在したのかは必ずしも明らかになっていません。

本研究は日本近世を事例として、これを同時期のヨーロッパと比較しつつ、既存の国際関係論における前提を検証し、前近代日本における主権領域秩序の歴史的発展過程を明らかにすることを目的とします。具体的には、近世日本を各藩を単位とした1つの擬似的な「国際システム」として捉えた上で、領土・主権・政府といった主権国家の構成要素が近世日本においてどの程度発展していたのかを分析します。本研究は非西洋国際関係論と歴史的国際関係論という、近年の国際関係論分野における2つの潮流のなかに位置づけられ、既存の国際政治理論の根本的な前提の一部を問い直し、これまで国際的な比較の文脈に置かれることが稀であった日本近世の歴史的事例を国際関係論の見地から論じるプロジェクトです。

本研究の実施にあたっては、2023年度から2026年度まで科学研究費(若手研究)(課題番号23K12423)の助成を受けています。関連分野の研究者のネットワーク形成と連携に注力しつつ、最終的な成果は日英両言語で書籍として発表することを予定しています。

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