SSUフォーラム/GraSPPリサーチセミナー”新型コロナウイルス危機後の国際保健協力のゆくえ”

  • 日程:
    2020年07月23日(木)
  • 時間:
    15:00-18:00
  • 会場:
    ZOOMでのオンライン開催となります
    ご登録完了後、会議前日に事務局より招待URLをお送りします
  • 言語:

    英語(interprefyを使用しての英→日の同時通訳有)
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  • 定員:

    200名

  • 主催:

    東京大学未来ビジョン研究センター安全保障研究ユニット
    GraSPPリサーチセミナー
    未来ビジョン研究センターとGraSPPリサーチセミナーは、今後の活動についての情報を提供するため皆様の個人情報を収集させていただいております。
    この情報はいかなる第三者にも開示致しません。

定員に達したため申込みを締め切りました。
概要

すでに世界で27万人以上の犠牲者を出した新型コロナ危機。その中で、国際協力の非力さが改めて認識されている。それは、どのような構造的要因によるのか。また、エボラ出血熱、SARS, MERSの際と比較して、今回、より顕著となった国際保健協力の課題は何か。今後、新たなパンデミックの発生に備え、国際保健協力体制を強化するうえでの糸口はどの点に見出せるのか。
本フォーラムは2つのパネルで構成する。パネル1では、今回の新型コロナ危機の中で国際保健協力が困難となった構造的要因に着目する。パネル2では、感染拡大の影響あるいは感染防止のための各国の政策がもたらした政治的・社会的課題を多角的に議論する。

プログラム
  • 15:00-15:10
    開会挨拶

    藤原帰一 東京大学未来ビジョン研究センター長

  • 15:10-16:00
    パネル1:新型コロナ危機における国際保健協力の構造的課題

    (趣旨説明 司会)
    藤原帰一 東京大学未来ビジョン研究センター長

    (パネリスト)
    渋谷健司 キングス・カレッジ・ロンドン教授
    武見綾子 東京大学未来ビジョン研究センタープロジェクト・メンバー
    城山英明 東京大学法学部・法学政治学研究科教授

  • 16:00-16:30
    質疑応答
  • 16:30-17:20
    パネル2:新型コロナ危機がもたらす政治的・社会的課題

    (趣旨説明 司会)
    藤原帰一 東京大学未来ビジョン研究センター長

    (パネリスト)
    高須幸雄 国際連合事務総長特別顧問(人間の安全保障担当)/元国連日本政府常駐代表
    イー・クアン・ヘン 東京大学公共政策大学院教授
    華井和代 東京大学未来ビジョン研究センター講師

  • 17:20-17:50
    質疑応答
  • 17:50-18:00
    閉会挨拶

    藤原帰一 東京大学未来ビジョン研究センター長

その他詳細

開会あいさつ:藤原帰一 東京大学未来ビジョン研究センター センター長
開会に際して藤原教授は、フォーラムの趣旨を説明しました。すでに世界で1500万人以上の感染者を出している新型コロナ危機。その中で、国際協力の非力さが改めて認識され、さまざまな疑問が提示されています。世界保健機関(WHO)を中心とする国際保健協力体制には、どのような構造的問題があるのか。エボラ出血熱、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)などの際と比較して、今回、より顕著となった国際保健協力の課題は何か。今後、新たなパンデミックの発生に備え、国際保健協力体制を強化するうえでの糸口はどの点に見出せるのか。
これらの問題提起に基づき、本フォーラムは2つのパネルを開催します。パネル1は、新型コロナ危機を通じて明らかになった国際保健協力の構造的課題を整理し、今後の展望を議論します。パネル2は、「人間の安全保障」や「持続可能な開発目標(SDGs)の観点に基づき、政治的・社会的課題を多角的に議論します。

パネル1「新型コロナ危機における国際保健協力の構造的課題」

「新型コロナ・パンデミックにおけるグローバルヘルスの危機」
渋谷健司 キングス・カレッジ・ロンドン 教授

新型コロナウイルスの感染拡大が起きている中、グローバルヘルスを守るための仕組みも市場原理も現状では機能せず、今回のパンデミックがかつてないほど政治問題化し、WHOに非難の矛先が向かっています。こうした非難の中には、例えばWHOの対応の遅さを指摘するものもありますが、WHOが各国の主権を侵さずに協力を得ながら状況分析をしなければならないことや、米国と中国の対立にも配慮しなければならないことなど、様々な制約がある中で新型コロナウイルス感染症の中国での最初の症例報告から4週間しか経っていない段階で警告を出したことを振り返り、必ずしも非難が妥当なものではないとの見解を渋谷教授は示しました。
また、今回の危機を招いた要因として、各国の国内政治や国家間の関係によって国際的な連携が阻まれていることを挙げました。WHOの警告に対し、米国や英国ではロックダウンの実施が遅れたため、被害が拡大した可能性があります。また、日本については、東京オリンピックの開催延期を決定したことを評価する一方で、他国と同様に感染症対策に取り組む中で科学の自律性が揺らいでいる状況を指摘しました。新情報の発信を優先して新型コロナウイルスの関連論文が査読なしに次々と発表されるなど、科学そのものへの信頼低下に加え、科学者が政府の代弁者のような役割を果たすようになったことを問題視しました。科学は本来、状況を分析して選択肢を示すということに専念すべきで、政策的な判断は政治家に任せるべきだとしました。
課題は多いものの、一部には希望が持てる進展もあるとしました。その例として、各国政府や国際機関が参加するGAVIのようなアライアンスによってワクチンの研究開発が展開されていること、中国が各国の科学者らと連携しながら新型コロナウイルスの研究を着実に進めていることを挙げました。

「国際保健と安全保障––歴史的観点と新型コロナウイルス対応の観点から」
武見綾子 東京大学未来ビジョン研究センター プロジェクトメンバー

武見氏は、国際保健を維持するための取り組みを振り返りながら、感染予防のためのグローバルな情報共有が国家の安全保障と深く関与するようになった経緯を考察しました。1892年の国際衛生協定は当時の国家間の対立とコレラなどについての科学的事実に関する見解の不一致を乗り越えるために制定されたもので、その後の国際連盟保健機関(LNHO)や現在のWHOは、健康と国の安全保障を分離した中立的な組織として設立されました。だが各国の軍のネットワークも含む情報収集網のGOARN(国際的感染症対策ネットワーク)が設置され、国際保健規則でも監視対象をこれまでの3種類の感染症から、原因を問わず健康に有害なあらゆる事象と広げたことで、テロリズムなども含まれるようになり、安全保障の問題と健康問題が切り離せなくなってきたと指摘しました。
また、米国のように一国の中での情報共有の分断が起きていたり、ロシアやウクライナのように感染予防のための資材の輸出を規制する国が出てきたり、紛争地帯に派遣された軍によって新たに感染拡大が起きてしまったりと、今回のパンデミックによって可視化された具体的な課題もあるとした。こうした課題に対して、例えば領域を越えた情報収集網を構築しながらどんな情報を共有するかをあらかじめ取り決めたり、政策決定のための手順を改めて明確にしたりといった政策介入によって事態を改善できる可能性があるとの見解を示しました。

「グローバル保健ガバナンスの課題と展望」
城山英明 東京大学 法学政治学研究科教授/公共政策大学院教授/未来ビジョン研究センター 副センター長

城山教授は、特にWHOに焦点を当てながら、新型コロナウイルスの感染拡大によって新たに表面化した課題を分析しました。グローバルな保健ガバナンスはこれまでも必ずしも一枚岩ではありませんでしたが、1980年代以降にWHOの改革が進められ、例えば最近では薬剤耐性菌への対策や、誰もが保健医療を受けられることを目標に掲げる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の取り組みが国連やG7、G20などとの連携で実施されてきました。また、2014年にエボラ出血熱の感染拡大がアフリカで起きた時には、健康被害と人道的リスク、さらには社会的・政治的・経済的影響が絡まり合って発展途上国では対処が困難だったこと、出入国管理が厳しく実施されたこと、WHOの関与が遅れたこと、新興感染症の治療薬の研究開発が進んでいないことなど様々な課題が明らかになりましたが、国連など機関同士の連携強化や感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)の設立といった対策がとられてきたとしました。
こうして改善を進めてきたグローバル保健ガバナンスでしたが、新型コロナウイルスのパンデミックではさらに新たな課題が見えてきたとしました。感染予防だけではなく、国の安全保障や経済も考慮する必要があるということ、発展途上国だけではなく先進国、特にWHOからの脱退を表明した米国に象徴されるように国際連携に課題が残ったことなどを挙げました。そして米国のWHOからの脱退表明は、WHOそのものの評価よりも、地政学的な要因によるものだと指摘し、WHOの意義ある構造改革につながるかどうかは注視する必要があるとしました。

質疑応答
3人の発表の後は、参加者からの質問に答える質疑応答の時間が設けられました。
新型コロナウイルスのように先進国でも感染症の流行が起きることをWHOが十分に予測できていなかったのではないかという意見に対して、渋谷教授はアフリカを中心に起きたエボラ出血熱は先進国にとってもリスクであったとし、むしろ各国の政府がきちんと他国の警告を聞いて速やかに感染対策のイニシアティブを取る意欲があるかどうかが問題だとしました。また、感染を検出する現行のPCRよりも安価な手法の開発をWHOは促しているのかという問いに対しては、米国国立衛生研究所(NIH)が1日に600万人を検査する体制の整備を進めていることを挙げて、前進が見られるとしました。
ナショナリズムがワクチンの配備に影響する可能性について聞かれた武見氏は、計画的な調達とリスク・コミュニケーションの2つが重要な柱になるとしました。
2003年に流行したSARSの時には有効だったGOARNが新型コロナウイルスでは十分に機能しなかったのではないかという指摘に対して、城山教授はGOARNも科学的な連携も機能したものの、今回のパンデミックでは期待値が上がっていたことと、その他の分野での連携が不十分だったために結果的にグローバルな連携がうまくいかなかったとの見方を示しました。また、WHOは常に非難され、事務総長(Security General)を指すSGは「スケープゴート(scapegoat)」の略だと自虐的に表現したコフィー・アナン元国連事務総長の皮肉に対して、確かにWHOに非難の矛先が向かいやすいが、新型コロナウイルスに関する中国の対応はSARSの時の経験を踏まえて決して悪くなかったと一定の評価を与えました。こうした議論を受けて、藤原センター長は、様々なバランスの上で成り立っているグローバル保健ガバナンスが米国のトランプ大統領の影響によって乱されている面があるとし、大国の責任の大きさを指摘しました。

パネル2「新型コロナ危機がもたらす政治的・社会的課題」

「国連システムはいかに新型コロナウイルス感染拡大に対応したのか―将来のパンデミックに向けた挑戦と展望」
高須幸雄 国際連合事務総長特別顧問(人間の安全保障担当)/元日本政府国際連合常駐代表/NPO法人「人間の安全保障」フォーラム 理事長/立命館大学 客員教授

高須大使は、新型コロナウイルスの感染拡大に対する国連の最近の対応を振り返りました。3月30日に国連が公表した「共有の責任とグローバルな連帯:COVID-19の社会経済的影響への対応」には、国連の対応の基盤となる3原則が盛り込まれていました。ウイルスの感染を抑えてパンデミックを管理下に置くこと、人々の生命や暮らし、そして経済への影響を緩和するためにできる限りのことを実施すること、そして今回の人類の危機から学んで以前の状態を上回る復興を遂げ、SDGsとパリ協定の実施につなげることが掲げられました。また、国連機関は人間の安全保障、資金動員、そして医療資材の調達を対応の柱にしており、新型コロナウイルスの感染拡大によって最も打撃を受けやすい体に障害がある人や高齢者、女性、難民や国内避難民といった弱い立場にある人たちを守るためにも全世界での即時停戦を呼びかけました。
国連が中心となって進めてきたこれらの感染拡大防止の取り組みを通して見えてきたのは、国連機関の役割分担と機能強化、資金獲得、新興感染症に対処するためのシステムの必要性だとしました。多国間で協議するための枠組みや、グローバルファンドやCEPIのような公的・私的な連携のよって複数の国が協力する仕組みの充実も課題だとし、ワクチンなどを国際公共財とするためのイニシアティブ「新型コロナウイルス・テクノロジー・アクセス・プール(C-TAP)」が発足したのはこうした背景があるとしました。引き続き国際機関への権限や法的資格、資金の供与、多国間のネットワークの構築、より包括的な多国間主義の実現を進めるべきだとしました。

「新型コロナリスク社会を生きる––欧州および東南アジアにおけるリスクアセスメントと管理の課題」
イー・クアン・ヘン東京大学公共政策大学院教授

ヘン教授は、各国の具体的な新型コロナウイルス対策を比較しました。イギリスでは少数の一握りの研究機関に所属する科学者が政府のアドバイザーとして選ばれていますが、groupthink(集団思考)によって例えばロックダウンは政策としてあり得ないとして最初から議論から除外されるとうことが起きたという事例を紹介し、新型インフルエンザの感染拡大の対策を考えた専門家が、新型コロナウイルスの感染拡大を検討することで認知バイアスが起きている可能性も指摘されているとしました。こうした少数の専門家の意見が政策に大きく反映されるため、政府に助言する「公式」の専門家に対して「非公式」の独立の専門家集団が組織される状況になっているとしました。一方のドイツではリスク・マネジメントが順調にできたことで被害が比較的小さく済んだものの、そもそも脅威ではない新型コロナウイルス感染症に「過剰な」予防策をとることに反対するデモが頻発し、危機を予防できたことによるパラドクスが生じているとしました。
都市のロックダウンを実施したシンガポールでは、密集した寮生活をする移民の間で感染爆発が見られたように、盲点になってこれまではあまり見えていなかった社会の中にある格差や不均衡が炙り出される事態も起きました。スウェーデンやイギリスで見られた介護施設での死亡者数の増加、都市部から脱出する中間層、自らを特別扱いし外出自粛のルールを守らないエリート層なども問題視されたとしました。
政府のリスク・コミュニケーションについても各国で差が見られ、「ステイ・ホーム」をスローガンとして掲げたイギリスに対して、スウェーデンは長期戦を見据えて「ロックダウン」という言葉の使用を避けました。ドイツのメルケル首相は予定外のテレビ出演で直接国民に呼びかけたことが称賛され、ベトナムも携帯電話へのメッセージの配信や使いやすいアプリなどコストがかからない手法をうまく活用して広く注意喚起をすることで感染拡大の予防に役立てました。また、シンガポールでは感染拡大の悪循環を防ぐためにcircuit breakerと称してテレワークができない移民への支援や生活の質の改善を実施しました。
以上のような成功例やうまくいかなかった事例を参考に、改善策を検討していく必要性を強調しました。

「アフリカの紛争影響地域における新型コロナの社会的影響」
華井和代 東京大学未来ビジョン研究センター 講師

華井講師の発表では、アフリカの中でも特に、最貧困国の一つであり、紛争影響国でもあるコンゴ民主共和国が事例として紹介されました。アフリカでは7月の段階で感染者数が60万人を超えており、人数としては他の地域ほど多くはありませんが、アフリカ固有の課題が浮かび上がってきています。特にコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)は長年紛争が続き、紛争鉱物の利用に基づく住民への暴力が問題になっています。新型コロナウイルスの感染拡大の対策については、首都キンシャサにある唯一の検査機関で国全体をカバーしなければならない状況や、上下水道の整備が不十分であることなどもともと衛生環境が脆弱だったため、感染拡大を防止するために国境閉鎖と都市のロックダウンが実施されました。だが人の流れが止まったことで、地域の経済を支えていたインフォーマルセクターが打撃を受けることになり、マスクどころか食糧を買うための収入すら失った市民が、外出自粛要請を受けて狭く空調が設置されていない家に密集して閉じ込められることになり、「感染症よりも飢餓で死んでしまう」事態になっている現状を示しました。
また、コンゴでは新型コロナウイルス以外にエボラ出血熱やマラリアなど他の感染症も問題になっていて、長年にわたる権力の腐敗を目の当たりにした人たちによってエボラ出血熱は政府の陰謀だとして治療施設への襲撃事件も起きています。国連は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために各地の紛争の停止を要請していますが、鉱物に「課税」することで安定的に収入を得ていた武装勢力が他の収入源を求めて市民を攻撃することも増えています。公益目的で人権を制限する際に国連が制定している「シラクサ原則」に果たしてきちんと則った取り組みとなっているのか検討する必要があるとし、新型コロナウイルスの感染拡大の対策を講じる際に、取り残される地域があってはならないと訴えました。

質疑応答
3人の発表の後は、参加者からの質問に答える質疑応答の時間が設けられました。パネル1でも議論されたように国際機関が不当な非難に晒されたりスケープゴートにされたりしがちな現状に対して、高須大使は、国連の場合は主要加盟国と信頼関係を築いて課題に対処して行くことがいちばんの解決策になるとしました。また、新型コロナウイルスのような緊急事態における地方自治体の役割については、SDGsでも設定された目標を守るための実行部隊となるのは地方自治体で、国連は中央政府だけではなく地方自治体の役割も重視しているとしました。SDGsは中国を含む国際的な連携を進めるための試金石になるとし、新型コロナウイルスの感染拡大によって帳消しにされてしまったこれまでの成果を取り返すためにも公的資金をうまく活用していく必要があるとしました。
地方自治体と中央政府の関係について、ヘン教授は英国でも日本と同じように対立がより目立つようになってきているとし、実際に現場で危機に対応する地方自治体が自らの主張の裏付けに各地域にある大学の知見を活用することを提案しました。また、科学が政治に利用されないようにするためには、科学と政治の距離が近くなっている英国も、反対に政府が科学的知見に耳を貸さないように見える日本も、研究成果の分かりやすい形での公表や、どの科学者が専門家として国にアドバイスをしているのかが見えるようにするなど、透明性を維持することの重要性を指摘しました。
紛争影響地域における国連平和維持活動(PKO)の役割について、華井講師は、100以上の小さな武装集団が散らばって活動しているためにもともと対処が難しい地域であることと、コンゴに派遣されているPKO要員40人以上が新型コロナウイルスに感染するなど、PKO自体のマネジメントの問題が存在していることを説明しました。また、アフリカの中でも南アフリカ共和国での新型コロナウイルスの感染者が多い理由を問われ、南アフリカ共和国が地域の中では経済大国で人の動きが活発であること、人の密集が起きやすいこと、そしてPCR検査数が他国よりも多いことが原因になっている可能性があるとしました。

閉会あいさつ:藤原帰一 東京大学未来ビジョン研究センター センター長

フォーラムの閉会に際して、藤原センター長は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために各国政府が取り組みを進めたものの、アカデミアや国際機関の意見に耳を貸さない状況に危機感を示しました。各国から示された救済措置も不十分なもの、もしくは連携の取れていないもので、国と国、中央政府と地方自治体など、これまで構築されてきた連携が新型コロナウイルス感染症によって分断されてしまったとしました。こうしたパンデミックは今後も発生する可能性があり、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)でもパンデミックがテーマになりますが、目の前の感染症対策に追われる中で、根本的な問題であるはずの環境問題が後回しにされ、世界の状況改善の取り組みが後退しかねないとしました。そしてグローバルな課題に向き合うために、本フォーラムで議論されたような国際連携を取り戻すための議論の必要性を改めて強調しました。

今次フォーラムの動画は、下記東大TVで視聴いただけます。ご関心があれば、ぜひこちらもご確認ください。

※本フォーラムは、当センターが委託を受けた外務省外交・安全保障調査研究補助金事業と関連したテーマで開催されたものです。