-
春日文子 フューチャー・アース日本ハブ事務局長、未来ビジョン研究センター客員教授、国立環境研究所特任フェロー
G20サミットを前にFuture EarthがCivil 20で発表
春日文子 フューチャー・アース日本ハブ事務局長、未来ビジョン研究センター客員教授、国立環境研究所特任フェロー
Civil20(C20)とは、2019年6月に大阪で開催されるG20サミットに向けて設立されたプラットフォームであり、G20の7つあるエンゲージメントグループの一つです。C20サミットは、2019年4月21日―23日に東京で開催され、40の国と地域から830人の参加者が集まりました。3日間のプログラムでは、9つのプレナリーと17のブレークアウトセッションが行われ、160の講演者が発表し、参加者同士の活発な議論が交わされました。フューチャー・アース(Future Earth)からはジル・シウンサイエンスオフィサー、谷淳也アドバイザー、そして春日文子日本ハブ事務局長が参加しました。
フューチャー・アースは、環境・気候・エネルギーセッションの最後に発表し、春日日本ハブ事務局長が、フューチャー・アースは市民社会とも協力してSDGsの達成に向けたサステイナビリティ研究を推進することについて説明しました。最近の成果としてExponential Climate Action Roadmapを紹介するとともに、「気候変動について今伝えたい、10の重要なメッセージ」(10 New Insights in Climate Science)を、C20が発表した8つの政策提言(下記参照)と比較しました。そこで2つの違いを明確にし、双方のネットワークが協力する良い機会となることを強調しました。
C20は400以上の組織にコンサルテーションを行い、政策提言の「ポリシーパック」(Policy Pack)を策定していて、環境・気候・エネルギーセクションには8つの政策提言があります。
- 気候変動の深刻な影響を防ぐために野心を高める喫緊の必要性を認識する
- クリーンでサステナブルな、環境に優しい分散型エネルギーシステムへのエネルギー転換を加速させ、全員が安全でサステナブルなエネルギーへのアクセスを実現するために100%再生可能なエネルギー未来への転換を確保する
- 化石燃料への補助金(fossil fuel subsidies; FFS)を段階的に廃止する
- 気候変動ファイナンスを拡大し資金の流れをPAとSDGsと合わせる
- 低炭素で包括的な、環境に優しい、気候に強靭なインフラストラクチャーを担保する
- 強靭な経済・生態系・社会へのグローバルな転換を支持する
- 生態系の安定を確保するために生物多様性を保護する
- 海洋プラスチック汚染を軽減する
C20代表はポリシーパックをすでに4月18日に安倍晋三総理大臣に提出しており、C20サミットでは阿部俊子外務副大臣に手渡しました。G20サミットは6月28日と29日に大阪で開催されます。
フューチャー・アースについて
フューチャー・アースは、持続可能な地球社会の実現をめざす国際協働研究プラットフォームです。IFIは、日本学術会議とともに、国際本部事務局の一翼としてフューチャー・アースの研究推進を担う日本コンソーシアムの運営を担当しています。