ライフスタイルデザイン研究ユニット 薬学未来ビジョン研究プロジェクト

研究概要

日本の薬学教育は、創薬研究・医薬品開発・医薬品の適正使用・公衆衛生など広い領域をカバーしており、実際、それぞれの分野に人材を供給しています。これは海外諸国の薬学教育には見られない、日本の薬学の特色であって、世界薬学連合(FIP)も注目しているところです。(添付図の薬学空間を参照)

しかしながら、医薬品の適正使用=薬物治療の最適化に責任を持つ薬剤師(特に、全薬剤師の約60%を占める市中薬局の薬剤師)に対する社会の評価は諸外国に比べて芳しいものではありません。その根源は、日本の薬剤師はこれまで医薬品というモノを中心に考えてきた点にあり、今後は患者というヒトを中心に考える医療職へと考え方を転換する必要があります。その際、病気の治療に留まらず、病気の予防、或いは、健康の維持・増進に貢献する薬剤師を目指すべきと考えます。この点は、生活習慣病が深刻な高齢社会である我が国では喫緊の課題です。薬局薬剤師は、医師・看護師・介護士と協働して、地域の人々のライフスタイルにも助言できる、いわば「街の健康コンシェルジェ」となることが望まれるのです。

本プロジェクトは、このような薬剤師を輩出する薬学教育(卒前教育、卒後教育)はどうあるべきか、大学人のみならず日本薬剤師会等の関係諸団体とも協議を重ねつつ、提言することを目標とします。