研究概要
食は健康に大きな影響を及ぼします。栄養失調に伴う各種欠乏症や過剰摂取による生活習慣病のリスクについては以前から知られていましたが、近年、その適切な摂取により健康の維持増進に大きく寄与し得ることが、様々な研究により明らかになってきました。その中にはフレイルの予防や免疫賦活による感染症抵抗性の保持等の身体に対するポジティブな影響が含まれるのみならず、精神的健康、更には社会的健康に寄与し得る内容も含まれています。
しかし、これらの知見は国民の実際の食生活にまで十分浸透しているとは言い難いところです。家庭での食生活のレベル低下が著しいとの報告が多数あり、また最近の国民健康・栄養調査と食事摂取基準を比べてみても、摂取量が基準値を満たす栄養素は半数以下でした。
食の健康機能の利活用促進は、健康長寿社会実現に向けた重要な課題であるにも関わらず、上記のようにまだ道半ばの状態です。そこで、当研究では先ず利活用促進を阻んでいる要因の解明を行い、次いでその対策の検討を行い政策提言に繋げようと考えています。
内容
食の健康機能の利活用促進を阻んでいる要因は多岐に渡るものと想定されますが、その全貌を整理解析した研究は存在しないので、先ず現状を第三者的に俯瞰し得る有識者(複数)への聴取を通じて現状の一次整理を行い、次に食の健康機能の利活用に関わるステークホルダーへのヒアリングを通じ、その内容の妥当性を検証します。
それを踏まえて利活用促進に向けた現実的な対策案を構築し、上記ステークホルダーのコンセンサスを得た上で政策提言とします。尚、今回の検討では、現状は数々の問題を孕んでいるものの、有効に活用する枠組みが構築できれば健康の維持増進に大きく貢献することが期待される「健康食品」も対象として取り上げます。
メンバー