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    東京大学未来ビジョン研究センター編

未来探究2050 東大30人の知性が読み解く世界

東京大学未来ビジョン研究センター編<br />
『未来探究2050 東大30人の知性が読み解く世界』<br />
(日経BP 日本経済新聞出版)
東京大学未来ビジョン研究センター編
『未来探究2050 東大30人の知性が読み解く世界』
(日経BP 日本経済新聞出版)

科学技術が加速度的に進歩し、国際社会が激動する21世紀において、未来への関心はますます高まってきています。目まぐるしく進歩する情報通信技術やバイオテクノロジーの進展を見たり、2020年から始まった世界的な新型コロナウイルス禍で激動している国際社会を振り返っても、今までの経験や出来事から単線的に未来を展望するという考え方は役に立たなくなってきているといえるでしょう。複雑で重層的な未来について深く考えることの必要性が増してきているといえます。

未来に向かって確実に役割が増えると思われるのが知識です。現代社会は知識により新たな価値を作り出していく知識集約型社会の側面がますます強くなっており、未来社会を展望するためには、これから産み出されていくであろう知識について考える必要があります。本書は「知の未来」を議論することで、知識の世紀ともいわれる21世紀における未来社会について考えるきっかけを提供することを目的としています。

本書は3部構成になっています。第1部では未来研究を中心に、未来に関連する学問について紹介していきます。また後半では本書のアプローチについて解説します。第2部は本書のメインです。幅広い学問領域をカバーするために東京大学の様々な分野の30人の研究者にインタビューし、各学問分野の知の軌跡とそこから描き出される未来像について語っていただきました。経済学、脳科学、ウイルス学、データ工学、ロボット研究、数学、素粒子物理学から、日本史、西洋美術史、仏教学まで異なる分野の専門家30人に共通の質問を投げかけて答えていただくという、ユニークな企画となっています。その結果として見えてきたのは、全く無関係であるように見えていた分野同士でも、意外にも共通する面があったということです。そして、第3部は第2部のインタビューをまとめ、五神真・東京大学総長と藤原帰一・未来ビジョン研究センター長の対談で締めくくります。

目次

第1部
なぜ未来ビジョン学か――本書のアプローチ


第2部
東大研究者30人による未来像

脳神経科学 まだ見ぬ「脳のフロンティア」を開拓したい
池谷裕二
神経科学 幼少期に開閉する「脳の窓」を解明
ヘンシュ貴雄
再生医学 私たちの身体の成り立ちを観て、識って、操る
伊藤暢
生物化学 ロドプシンが拓くタンパク質科学の地平
井上圭一
放射線生物学 生命はフクザツケイ メダカが教えてくれた見方
尾田正二
ウイルス学 ウイルス感染症を制圧することは可能か
河岡義裕
公衆衛生学 「健康づくり」は人と社会の接点 科学的アプローチ
橋本英樹
リスク研究 リスクと未来の社会
ヘン・イークァン
中国経済 変わり続ける「中国」と向き合い、実像を発信
伊藤亜聖
開発経済学 途上国の貧困問題が全て無くなる、その日まで
高崎善人
農業経済学 食欲が満たされた人類、食は「倫理的消費」へ
中嶋康博
環境倫理学 人新世の食のカタチ・生きもののカタチ
福永真弓
日本史 日本の中世史から見えてくる人間の歴史の行方
本郷和人
美術史 日本人の目と感性で捉える西洋近代美術
三浦篤
仏教学 温故知新、未来社会で蘇る仏教的思考
馬場紀寿
データ工学 社会をデータ駆動に変えるデータ工学
喜連川優
情報ネットワーク 「人を幸せにするユビキタス」とは何か
川原圭博
憲法学 情報通信が変えゆく社会の課題を腑分けする
宍戸常寿
ジャーナリズム研究 ジャーナリズムのあり方の研究を通じて社会貢献
林香里
ロボット研究 ロボットの概念を変えるソフトロボティクス
新山龍馬
素粒子物理学実験 素粒子実験で宇宙の成り立ちを解明
早戸良成
火山物理学 地球のダイナミクスの解明と、火山との共生
市原美恵
気象学 地球規模の雨や雲のメカニズムを解明
高薮縁
計算化学 見えない電子や原子の世界を可視化
ローツステット・エリック
素粒子物理学 超弦理論で世界の基本法則を解き明かす
大栗博司
可積分系 今までの数学では解けない世界を切拓く
ウィロックス・ラルフ
教育社会学 望ましい姿と現実の境目に立って警鐘を鳴らす
本田由紀
社会学 本当に社会的格差は減少しているのか
白波瀬佐和子
当事者研究 誰もがそれぞれの困難を抱えた「当事者」
熊谷晋一郎
国際精神保健・人権政策 一人ひとりの「違い」こそ、人間と社会の価値
井筒節

第3部 未来像の整理
【対談】五神真・東大総長×藤原帰一・東大IFI センター長