「眠れる巨人:地球科学と金融の対話イニシアティブ」シンガポール開催報告

出典:春日文子/フューチャー・アース

アジアの金融業界は、世界中の資本市場、経済活動および地球システムの転換点(tipping points)に対し影響力があります。ゆえに、気候安定化に向けた金融業界の活動が、アジアそして世界でリーダーシップを発揮する可能性を秘めています。

2019年6月7日にシンガポールで開催されたEcosperity conferenceと連携し、ストックホルム・レジリエンス・センターとフューチャー・アース日本ハブは、「地球システム転換点」というコンセプトを、アジアの金融業界に紹介するセミナーを共同で開催しました。本セミナーの目的は、資本市場と転換点の関連性を明確にし、関連性の検証方法をアジアおよび国際的な投資家が対象とする事例を用いて説明することでした。当セッションはTemasekとシンガポール国際問題研究所(SIIA)により支援を受けました。

セミナーでは、ウィル・ステフェン教授(オーストラリア国立大学とストックホルム大学ストックホルム・レジリエンス・センター)と、ビアトリス・クロナ氏(スウェーデン王立科学アカデミー地球経済のダイナミクスと生物圏とストックホルム大学ストックホルム・レジリエンス・センター)が、「眠れる巨人」の報告書の内容に沿って講演を行いました。

講演では、アマゾン熱帯雨林やロシアとカナダに位置する北方林、またインドネシアのボルネオにおけるアジアの金融業界による所有権の新しいデータについて発表されました。ボルネオは生物多様性と地域の水循環、そして炭素貯留にとって重要な地域ですが「転換要素」(tipping element)ではありません。下記にある図は、以前の研究で開発された方法論に基づき、博士課程のアミ・ゴランドとアリス・ダウリアックにより算出されたデータです。計算方法の説明も含めこちらからダウンロードいただけます。

この図はアマゾンおよびカナダとロシアの北方林の転換要素におけるASEAN諸国の組織的投資を表している(2018年12月時点)。データソース:Thomson Reuters Eikon, 計算はA. Golland and A. Dauriachより。

この図はボルネオにおける最大の森林利権を取得または運営している19の上場企業へのASEANの組織的投資を表している。データはGlobal Forest Watch (2010-2014)より。

また本セミナーでは、投資コミュニティの当事者に、地球システム転換点の存在が持続可能な金融を検討するときにもたらす影響や、転換要素の知識がビジネスへ与える影響、自分の組織で行動するために必要な情報やツールについて質問しました。そこではさまざまな意見が持ち上がりましたが、多くの参加者は、科学が政治家への情報提供における重要な役割を担っていることや、投資家が非金融的要素を検討するときのツールや指標開発にも役立てることを強調しました。

シンガポールの講演資料はこちらからダウンロードいただけます。
Will Steffen and Beatrice Crona: “Sleeping Financial Giants – Opportunities for financial leadership for climate stability“(PDF)