第4回イオン未来の地球フォーラム開催報告:高校生が海洋の未来について語りました
第4回イオン未来の地球フォーラムが、2020年2月1日(土)、東京大学の安田講堂で開催されました。当フォーラムは、2017年にフューチャー・アースの理念に沿って民間企業とアカデミアが共同で行うイベントとして始まり、公益財団法人イオン環境財団、東京大学未来ビジョン研究センターとフューチャー・アースが主催しています。フォーラムの目的は、地球の環境変化に伴って起きている自然と人間社会における問題について、最新の科学的知見を紹介し、解決策について参加者とともに考えることです。今年は800人以上の参加がありました。
第4回は、フューチャー・アースの「知と実践のためのネットワーク」のテーマの中から『海の環境と資源を守る』をフォーラムのテーマとし、具体的な課題解決について、参加者の皆様とともに考えました。冒頭で、基調講演として専門家が現代の問題をわかりやすく解説し、その後、パネルディスカッションにおいて参加者のとの双方向の対話型討論を行いました。
基調講演では、まず原田尚美氏(国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球表層システム研究センター センター長、海洋生態系研究グループグループリーダー(兼務)上席技術研究員、第60次南極地域観測隊副隊長および夏隊長)により、「変わりゆく海洋環境と生態系と物質循環:その関係性の謎」と題して、海の温暖化、海氷の減少、海洋酸性化による生物や物質への影響について、データとともに解説がありました。
次に、金子豊二氏(東京大学農学生命科学研究科水圏生物科学専攻 教授)が「海の魚と川の魚の不思議」について、魚の浸透圧調節のしくみやエラの働きの解説や、海水魚と淡水魚の違いについて紹介しました。また、透圧調整のしくみを利用した産業への応用の可能性についても言及がありました。
ゲストトークでは、ココリコ田中直樹氏(吉本興業)と植松光夫氏(埼玉県環境科学国際センター総長)が「海とわたし」について語り合いました。田中氏は、サメ好きが高じて海の生き物すべてが好きになり、地球の環境について関心をもつようになったことを紹介しました。植松氏は、黄砂の海環境への影響などについて解説し、地球環境の変化について個人ができることを持続して行うことが大切と話しました。
対話型パネルディスカッションは2部構成により行われました。第1部では、「海の環境と資源の問題、そして私たちがすべきこと、したいこと」と題し、牧野光琢氏の司会により討論が行われました。それぞれのパネリストから、うなぎのライフサイクルや、マイクロプラスチック、資源管理などについて研究や仕事の紹介がありました。その後、環境問題について、どのようにすれば一般の方々に興味を持ってもらえるかについて意見が出されました。会場との質疑応答も活発に行われました。
第2部では、事前に植松氏から7か月間にわたりアドバイスを受けた二つの高校から発表がありました。お茶の水女子大学附属高等学校は海洋プラスチック問題を取り上げ、収集した情報や解決策の提案、自らの活動などをまとめて作成したホームページを紹介し、自分たちができることについて発表しました。市立横浜サイエンスフロンティア高等学校もまた海洋プラスチックをテーマとして取り上げ、3つのグループにより、回収→分解→代替の発表を行いました。高校生とパネリストとの質疑応答もありました。
今年のフォーラムでは高校生によるパネルディスカッションへの参加もあり、次世代との対話が活発に行われました。次回2021年2月6日には、シリーズ最後となる第5回未来の地球フォーラムが開催されますが、参加者の環境課題に対する理解と意識が高まり行動に繋がるような双方向の討論を行いたいと思います。