都市化の進展と気候変動にともない、都市と農村部の間で水をめぐる競争が激化することが予想されています。都市の水需要に応えるため、ダムの建設、土地利用の変化、農業用水から都市用水への転換など、さまざまな方法を通じて農村部から水を再配分することが一般的になっています。水ガバナンスに関する政策議論は水を天然資源として扱い、その管理方法を分析する手法とっているため、コミュニティや地域政治との関係を見過ごしています。ポリティカル・エコロジーの研究は、このような枠組に異議を唱えています。水がどこに流れ、誰のニーズが優先されるかは、権力と政治の問題なのです。研究者たちは、都市の水需要がしばしば農村部よりも優先されることで、不公平と脆弱性が深まっていることを指摘しています。
水を自然資源から社会資源へと概念化することは画期的なことですが、もし農村と都市の水の再配分に関連するガバナンスが深い不公平と脆弱性の原因になっているとしたら、こうした政治的結果をもたらすメカニズムや経路は何でしょうか。さらに、このような政治的結果をどのように定義できるのでしょうか。これらの問いに取り組むには、様々な文脈における水への要求に関連するガバナンスに、より注意を払う必要があります。
本研究プロジェクトは、アジアとアフリカの都市と農村の水の再配分の文脈から、これらの疑問を探るものです。
※本研究プロジェクトは、日本学術振興会科学研究費補助金Bの助成を受けています。
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