趣旨
知的財産制度が企業のイノベーションに与える影響は複雑化しています。特に近年のイノベーションのオープン化、出願の急増、学術研究と産業技術との接近(サイエンスリンケージの上昇)、新興国の台頭等の変化は、その関係を益々複雑なものにしており、知的財産制度がイノベーションを阻害する側面も指摘されていることから「イノベーションを促進する知財制度の在り方」は最も注目される研究課題であるといえるでしょう。このような現状を踏まえ、新たなイノベーション環境に適切に対応し、イノベーションを促進する制度を作るとの視点から、『次世代の知的財産権制度(特に特許制度)のあり方』について研究を行い、それに基づいて政策選択肢の発信を行います。
研究内容
世界の知的財産権制度(特許制度)は、構造的な変革期にあります。知的財 産権制度がイノベーションに与える影響の実証的研究、オープン・イノベー ションの進展等の環境変化が制度に及ぼす影響の学術的研究等を踏まえ、世 界における『次世代の知的財産権制度』にあり方について、体系的な改革の 選択肢を示します。これに含まれるのは、例えば、権利の保護と利用のバラ ンス、特許の質向上のための制度・運用改革や国際協力のあり方、国際産学 連携等増加している複雑なケースへの特許管理 、大学における特許管理のあ り方です。中国における知財とイノベーション、仮想空間の知的財産法、標 準と特許などはまた我々の新しい研究テーマです。さらに特許と学術情報の シームレスな検索システム等、知的財産制度運用のインフラのあり方につい ても提言を行います。
プロジェクト