持続可能な未来のための日本モデル相互比較プラットフォーム(JMIP) 脱炭素トランジション : イノベーションとライフスタイル変容の複数モデル評価

研究内容

日本を代表する複数の統合評価モデル・エネルギー経済モデルを用いてシナリオ分析を行い、シナリオ・データベースを構築し、日本の頑健な脱炭素トランジションの道筋を検討する。エネルギー技術イノベーションのデータベースを構築しシナリオ分析に活用する。シナリオ・データベースを用い経済性・技術的実現可能性や持続可能性に関して多面的に評価し、革新的イノベーションやライフスタイル変容について、脱炭素に必要な対策と現行政策とのギャップを明確にする。トランジション研究に基づき、ギャップを埋めるための革新的イノベーションやライフスタイル変容を引き起こす、具体的なシステム・イノベーションのための政策パッケージを明らかにする。これにより日本の環境政策に貢献し、ひいてはアジアの気候政策の強化への含意を引き出す。また査読付き学術論文を公表することでIPCCなどの国際的な科学的アセスメントやエネルギー政策の科学的レビューメカニズム等に貢献する。

    テーマ1:技術変化と社会変容に関するシナリオ分析、およびトランジション研究との接合し

リーダー:杉山 昌広(東京大学未来ビジョン研究センター 准教授)
研究全体の全体統括を行い、政策的含意の取りまとめを行う。2-1704のシナリオ設計を発展させ、各サブテーマと協力しながら革新的イノベーションおよびライフスタイル変容を複数モデルで評価できるシナリオ設計を行い、これに基づき日本の主要な統合評価モデルおよびエネルギー経済モデルが参画するモデル相互比較のコーディネーションおよびシナリオ・データベースの構築を行う。さらにシナリオ分析の結果を踏まえて、持続可能性トランジション理論に基づいた具体的な政策パッケージを導き出す。

    テーマ2:脱炭素トランジションの理論的フレームワークと日本への応用

リーダー:木村 宰(電力中央研究所社会経済研究所 上席研究員)
持続可能性へのトランジション(sustainability transition)の理論的フレーム(multi-level perspective等)について包括的なレビューを行い、政策的含意の整理や日本における気候変動分野の事例(再生可能エネルギーやライフスタイル変容等)への適用を行う。また理論的フレームとモデルによるシナリオ分析の接合について、具体的なシステム・イノベーション政策の観点から検討する。サブテーマ1と連携し、シナリオ設計およびシナリオ分析の解釈にトランジション研究の知見を反映する。

    テーマ3:脱炭素トランジションと持続可能性に関する評価

リーダー:大城 賢(京都大学工学研究科 助教)
脱炭素トランジションに関して、持続可能な開発目標(SDGs)に関連する複数の項目(経済や雇用、格差など)について評価枠組みを構築する。この評価枠組みを用いて、研究課題全体のシナリオ設計に基づき、脱炭素トランジションについてシナジーとトレードオフについて多面的に評価する。またサブテーマ1が取りまとめるモデル相互比較にAIM/Enduse, AIM/Hubモデルで参画する。

    テーマ4:脱炭素トランジションのためのイノベーション・データベース構築

リーダー:松尾 雄司(日本エネルギー経済研究所 客員研究員・立命館アジア太平洋大学 准教授)
脱炭素トランジションに資するエネルギー供給技術、需要側技術、またシステム全体に関する技術の情報収集および整理を行う。これに基づき、革新的イノベーションを中心にエネルギー技術イノベーションに関するデータベースを構築し、他のサブテーマや研究協力者のモデル研究チームに提供する。エネルギー技術イノベーションの効果に関する分析を実施する。またサブテーマ1が取りまとめるモデル相互比較にIEEJ-NE-Japanモデルで参画する。

    テーマ5:トランジションを支える再生可能エネルギーとセクター・カップリング

リーダー:小宮山 涼一(東京大学大学院工学系研究科 准教授)
主力化していく再生可能エネルギーについて、供給側だけでなく他の部門とのカップリングの相乗効果について、技術情報の収集を行い、時間高解像度エネルギー・システム・モデルに組み込む。脱炭素に対するセクター・カップリングの貢献度について分析を行う。またサブテーマ1が取りまとめるモデル相互比較に時間高解像度エネルギー・システム・モデルを用いて参画する。

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