背景
コンゴ民主共和国の東部では1990年代から紛争が継続し、地域住民の生活に深刻な影響をおよぼすと同時に、紛争下の性暴力によって脆弱な立場に置かれた女性たちが多く存在します。こうした紛争影響地域の住民たちを支援するため、2022年4月より国連工業開発機関(UNIDO)が日本政府予算により、コンゴ東部のパンジ病院と連携して支援事業を開始することになりました。南キヴ州を対象地域として、パンジ病院の一角で女性たちがサトウキビを原料とするアルコール消毒剤を作り、病院で利用すると同時に市場でも販売する事業です。消毒剤が感染病予防に役立つと同時に、女性たちの生計向上支援になり、さらにコンゴ東部で切望されている小規模製造業のお手本となることが期待される素晴らしい事業です。
未来ビジョン研究センター(IFI)は事業の立案時からUNIDOとパンジ病院および日本の協力団体との話し合いを仲介し、アフリカ紛争研究の観点からコンゴ東部の情勢に関する情報を提供し、化学システム工学の観点からアルコール消毒剤製造設備の建設に関する助言を行ってきました。本事業が紛争影響地域への技術移転の先駆的事例として成功し、地域の社会的安定に貢献すると同時に、事業実施プロセスを分析することで学術界への新たな知見の提供にもつながることを目的として、事業への助言提供と研究分析を実施します。
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